どうも3sixtyは韓国の自転車メーカーであるらしい。今後に期待

Hiroki Kaneko
6 min readJan 12, 2020

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韓国に本社機能を持ち、中国深センに生産拠点を持つ3sixtyは、主にブロンプトンのコピー品を作っているようだ。中国企業かと思ったら、AliExpressに載っていた自転車のフレームに”3sixty.kr”を書いてあったので、もしやと思いURLを直打ちしたら、Webサイトがあった(そして今どきHTTPSに対応していないので、もう少しプロモーションにお金を掛けたほうが良いと思う)。

完成車であるMini-Aでさえ$650という結構な値段がするので、これでは完成車を買う気はしないけど、売られているパーツがブロンプトン互換なら、これからちょくちょくお世話になるかもしれない。

HARRY QUINN Rollerは、現在日本で手に入るもう一つのブロンプトン コピーバイクだけど、畳んだ姿がちょっと違うし、パーツもブロンプトン互換かどうかは不明(たぶん非互換だろう)。こちらは今後、より高単価な電動アシスト自転車に力を入れるような気がする。トップチューブの中にバッテリーを積む方式は本家ブロンプトンのe-bikeでも採用されておらず、驚くかもしれない。

韓国の自転車事情について聞いた話

複数の韓国在住の韓国人から直接聞いた話。

Aさん(釜山市在住):「若い頃に自転車に乗っていたが、盗まれたのでそれ以後乗っていない」

Bさん(水原市在住):「郊外からソウル市中心部まで毎日マイカー通勤をしている」

漫画「鉄子の旅」から:「韓国は車社会なので鉄オタは変人扱いされる。駅など鉄道関係施設は(日本で言えば火葬場のような)禁忌施設のように扱われる」

このような断片的な情報しかないが、どうも韓国では自転車は流行っていないのでは?という気がする。たとえば台湾ならGIANTなどの巨大自転車メーカーから、高級自転車に使われる高精度のパーツなども作っているが、韓国の自転車メーカーと言われると、名前を思い出せない。韓国は自転車より自動車、ヒュンダイや起亜のような…が思い出される。
もしかして3sixtyの創業者は、ブロンプトンに惚れ込んでコピー自転車を自分でも作ってみるほどのエンスージアストかもしれないが、ぽっと出のOEM企業として深センの既存自転車工場に生産を委託しているだけだとしたら、本家ブロンプトンの近代的な生産体制に勝てるのだろうか?と不安にもなる。
しかしブロンプトンでも品質の要であるパイプ溶接技術は熟練職人の手作業なのだから、人間対人間の勝負だとしたら深センの熟練職人も負けていないだろう。人間は皆同じだとして、あとはどこまで製品に製造コストを掛けられるかの問題だと思う。中国の人件費が高騰した今、もはや大して安くもない低品質の製品など誰も買わないからだ。

https://www.bbc.co.uk/news/av/business-36083906/brompton-inside-a-folding-bike-factory

コピーから始まり、独自性を出せば良い

日本のカメラ産業に関して言えば、戦後、ニコンやキヤノンはコンタックスやライカのコピーカメラ、つまりレンジファインダーカメラを作るところから始め、1970年代に入って一眼レフカメラでその独自性を出してコピーから脱した。
韓国の自動車産業も、日本メーカーのノックダウン生産から始まり、2000年代初頭なら韓国車、というだけでBBC「トップギア」でジェレミーに小馬鹿にされていたのが、今や水素や電気自動車を世界中に売っている。
KIA Stinger GTなんてメチャカッコいいんですけど。デザイナーはドイツ人だっけ?アジア人デザイナーで良い人が現れないのが本当に残念だ。

https://www.autocar.jp/firstdrives/2017/06/22/225984/BMWの「豚の鼻」より「虎の鼻」の方が良い。本当にBMW 6 Seriesと競合できるデザインになった。

自転車だってコピーからはじまり、電動アシスト自転車への移行といった市場の変化をチャンスに変えれば、単なるコピーから脱して独自性を出さないとも限らない。例えばHARRY QUINNや3sixtyは、内装変速機をブロンプトンに倣い、スターメイ・アーチャー製、内装3段または5段変速にしているが、これがもしシマノ製内装8段とか 11段を採用したら?いきなり本家ブロンプトンより走る折りたたみ自転車が誕生する。それでパーツがブロンプトン非互換になるかもしれないが、HARRY QUINNは最初から「ブロンプトン方式の折りたたみ自転車」であるとして、互換品だとは思っていないフシがあるので大丈夫だろう。

というわけで、1960年代に日本車を「こんな”クソ箱 (Shit Box)”、坂登れるのか?」とバカにしていた脳ミソの足りないアメリカ人が足元を掬われたように、今度は脳ミソの足りない日本人が韓国や中国の自動車を小馬鹿にしている。歴史から学べない愚か者どもめ、自国の産業史を知っていればそんな事はとても言えない筈だ。

オイ聞いてっかオメーの事だよマガジンX編集部の匿名の臆病者。

そういった次第で、3sixtyの今後に期待しています。がんばれ!そしてもう少し安くしてください。

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Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。