2023年に読んで楽しかった本、YouTubeビデオ
今年はぜんぜん本を読めなかった
暑かったことしか記憶にないのですが、2023年も暮れようとしています。
私はここ数年、年末になるとこのMediumに「今年読んだ本」についての記事を書いているのですが、今年は本当に1冊しか本を読めなかったので、紹介するのはこれしかありません。
イギリス人というのはイギリス人であってもエド・チャイナとか、デイヴィッド・ドイッチュとか、他の国の名前が名字にあるのはなぜなんでしょうね?ともあれ、これは大著です。内容も多岐にわたり、私は半分も理解できなかったのではないか。その理由というのは、その日本語訳のまずさなのか、私の頭が悪いのか、たぶん両方だと思います。とにかく最初の方の数章は、これ、日本語なのか?と首を傾げるほど内容が頭に入ってきません。我慢して1/3ほど読み進めていくと訳者が変わったのか、それからは「我慢の読書」ではなくなった。
とにかく、頭が良い人はここまで物事の本質に迫れるのか、というのが驚嘆でした。しかしこの本から伝わってくるのは、ドイッチュはカール・ポパーに傾倒している、ということ。なので機会があったらポパーの「開かれた社会とその敵」を読もうと思った。あとは、ドイッチュって冷たそうな性格なので、友達にはなりたくないということぐらいだった。
個人的に友だちになりたいと思っていて、ご本人のTwitter(X)の発言に私は「いいね」を付けたりしたスティーブン・ピンカーとはえらい違いだ。彼の「21世紀の啓蒙」の中でも「無限の始まり」は引用されていたので気になって今回読んでみた。
絶海の孤島であるイースター島の文明が滅んだことについてこんなような意味のことを書いていた:「彼らがくだらない石像づくりをやめるという知識がなかったからだ。全ての悪は知識不足から来ている。イースター島を”宇宙船地球号”のメタファーとして取り上げるのはやめるべきだ。私が住んでいるグレートブリテン島(イギリス)は森なぞとっくの昔に消えてなくなったが、イースター島の3倍の人口密度だが知識のおかげで滅ばずに住めている」とか。
うるせえ、イギリスの産業なんかハリー・ポッターと英語くらいだろうがボケカス、などと言いたくもなるが著者は「静的社会と動的社会」との比較として上の話をしており、私があの魔法使いがどうとかいう子供向けの話についていけない世代だからひがんでいるわけではない。
本の後半でジャレド・ダイアモンドの著書を批判していた。なんでも、彼が「銃・病原菌・鉄」で主張した「アメリカ大陸の先住民が逆にヨーロッパを侵略しなかったのは純粋に地理的要素と動植物相から来ている」ということにも文句を言いたいらしい。つまり彼は「宇宙の法則で禁じられていない限り何でもできる」ことが「無限の始まり」であり、その入口に人類が立ったのはヨーロッパで啓蒙思想が興ってからなので、もしアメリカ先住民に啓蒙思想があり、無限の始まりに立っていれば「宇宙の法則で禁じられていない」リャマやアルパカに乗ってカピバラを携行食料にしつつ逆にヨーロッパを征服できたかもしれないと。
そういう話じゃねえだろ。ダイアモンドは「優れた人種が劣った人種を支配した」という「白人至上主義」の文脈で語られることの多いスペイン人によるアメリカ大陸の征服は、今やでたらめな概念である「人種」が違ったからではなく環境のせいだ、と言っているだけだ。そして、ネイティブアメリカンが「欧州大陸の征服者」にならなかったのは大西洋の東に大陸があるとは知らなかったからであり、それで満足というか別に困らなかったからであり、優劣の話ではない。ダイアモンドは「白人至上主義の神話」を崩したかったからこそ「銃・病原菌・鉄」を書いたのであり、ではなぜ西洋では啓蒙思想が興ったのか?というのも「ユーラシア大陸は東西に長いから動植物相が似通っており、人の往来も簡単だが、アメリカ大陸は南北に長く、様々な気候をまたぐために動植物や人間の往来も難しい(ペンギンが赤道を越して北半球に進出できない理由だ)。人の往来はアイディアの往来であり、その結果として啓蒙思想が興った。一方、アメリカ大陸に住んでいた人たちは活発な人の往来がなかったために啓蒙思想のようなものが興らなかった」と言ってしまえば、それは「アイディアが悪いから/悪い説明だから」というわけではなく「環境依存の問題である」と言えるだろう。著者はこの本で1000回ぐらい「良い説明・悪い説明」という言葉を使っているけど、この「イースター島でモアイづくりをやめたらよかったんじゃない?」というのは、弾幕シューティングゲームの攻略アドバイスで「弾に当たらないことですね」というのと同じくらいクソみたいなアドバイスであり、これこそ「悪い説明」ではないのか?
原著はどうだか知らないが、日本語版は最低のクソダサ装丁、今どき電子版が存在しない、翻訳の悪さも手伝って万人にはお薦めしないが「当代最高の頭脳」が何を考えているのかを知るためには読んでも良いのではないかと思う。
良かったYouTubeビデオ
ディスカバリーチャンネルばかり見ていた。私が好きなシリーズを紹介します。
これはもちろん「リアリティーショー」でありドキュメンタリーではないのだから、番組として面白くするために台本あるんでしょ?というか途中から引っ越したアパートに住んでいる、ということではなくなったよね?などの様々な疑問がどうでもよいほどグレン・スターンズが人として魅力的だった、というか日本語吹き替えの声優さんが素晴らしかった。
アニマルプラネットもいいよね。アパートに住んでいるとケーブルテレビが家賃に含まれており、こういった番組を見られるのだけど戸建てだと見られない。動物を救うことに人生のすべてを掛けるジェフ先生がすばらしい。ペットの猫や犬は避妊手術・去勢をすると性格もおとなしくなり、病気にも掛かりづらくなって幸せなペット生活を送れる、というポリシーをお持ちの先生。まあ、だいたい野良犬、野良猫を動物保護団体から譲り受けると避妊手術ってしますよね。
人間も去勢とかやったらいいんじゃないかな?睾丸を除去すればテストステロンが作られなくなってバカな男が減るんじゃないか。プーチンやネタニヤフの暗殺計画を考えているウクライナやガザ地区の皆さん、殺さなくてもいいからアイツラのタマだけ切り落としてほしい。
身長2メートルの大柄なドイツ人、ミヒャエル・マヌザキスの吹き替えをしている声優の後藤光祐の声がカッコ良すぎて、たぶんミヒャエル本人の声より2億倍くらい良い。なんだか久しぶりに「字幕より吹き替えの方が良かった洋画」を見た気分になった。
これの 3:15あたりの「これで全員揃ったか(すぐさま)ギュンターがいない!(冷静になり)よーし順番だ」の緩急の付け方に痺れる。プロの声優って凄いな。
あー、これCS放送以外でネットの有料放送とかで全シリーズ見られないのかなあ。YouTubeでシリーズ4しか見られない。
John Downer Productions。ロボットカメラが野生動物たちの自然な姿を捉えるドキュメンタリー。見てください、このビーバーの子どもたちの笑顔。野生動物って、明日はこの3匹のうちのどれかが死んでしまうかもしれないのに、なぜそんなに笑顔でいられるんだ、と私は泣きそうになってしまう。私は年をとるごとにどんどん優しくなっている気がする2023年の暮れ。