21世紀の啓蒙を啓蒙する(2)“コロナ騒動の背後で進む日本破綻のシナリオ？総理が明かす、意外な黒幕の正体とは”
disclaimer:
記事名は下記に示す広告の文言からの引用です。釣られてやって来た方、これから私はあなたのことをバカにします。
無知の悲観主義にはうんざりだ
Web上のバナー広告というと漫画サイトのエロ漫画広告が数年前に問題になっていたけど、イギリスで創刊一世紀になろうとする伝統ある自動車雑誌、AUTOCARの日本版であるAUTOCAR JAPANのWebサイトも同じような広告で埋め尽くされており、雑誌の品格というものを落としている。
たとえ金を稼ぐ為とはいえ、例の「イチゴ鼻」の美容系グロ画像広告とか、エビデンスベースで物事を考えられないアホ共の好きな陰謀論の広告で埋め尽くされているというのは、「自分たちは三流ゴシップ誌です」とでも言いたいのだろうか？イギリス紙で言えば、デイリー・テレグラフやタイムズのような高級紙ではなく、自分たちはサンのようなゴシップ紙であると宣言しているのか？
これが紙の雑誌なら、出版社に対し「広告に品がない」と言えば対処されたのだろうが、ネット広告は既に読む人に向けてカスタマイズされているので出版社側からしたら「知りません」とでも言うのだろうか？でもそれで本当にいいの？
↑見ろ、これがピンカーの言う「進歩恐怖症」だ
大嫌いな言葉だけど敢えて言うなら「突っ込みどころ満載」。
- 実在の人物の名前を使って、本人が言っていない事を書くのは良いのか？たとえそれを禁止する法律が無かったとしても、道徳の問題だ、愚か者。
- この広告には幾つかのパターンがあり、上記画像は「コロナ騒動」だが、以前は言葉が「5G」になっていた。「無線通信の速度が上がって日本崩壊」だそうだ。コンピューターもインターネットもどのように動いているか知りもしないテクノロジー音痴は恥をかく前に黙ってろ。ドコモショップで無料のスマホ教室を開催していたから、行けば？
- 「黒幕」とは→お前の妄想。
右翼も左翼も現実を誤って認識している。これらバカに共通する思考：
* 将来に対する悲観主義
* 意味のない犯人探し
4. 「日本破綻」というが、何がどうなると破綻なのだ？もしかしてこの文章を考えた奴は「自分の妄想」のことを「日本」だと勘違いしていないだろうか。
1992年頃、私がパソコン通信に使っていたオムロン製モデムの通信速度は2400bpsだった。そこに、沖電気から9600bpsのモデムが出たという！さっそくモニター価格で購入し、その速度に感動したものだけど、感動こそすれ「通信速度が上がって日本崩壊」とは思わなかった。私はそこまでバカではないからだ。いや、バカだった。私は思春期あたりからずっとうつ状態だったが、それは現在の右翼や左翼が現実を正しく認識できないのと同様、私も正しく現実を認識できていないからだった。だから未だに、以前の私と同じ罠に嵌っている人達を見ると、ついバカだと思ってしまう。昔の愚かな自分を見るようで反吐が出るのだ。
元喫煙者で今はタバコを吸っていない人って、今現在タバコを吸っている人を叩きまくるでしょ？あれと同じ。
ピンカーの出番かと思ったけど、ロスリングにご登場願おう
第8章 犯人探し本能 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
ファクトフルネスとは…誰かが見せしめとばかりに責められていたら、それに気づくこと。誰かを責めるとほかの原因に目が向かなくなり、将来同じ間違いを防げなくなる。
犯人探し本能を抑えるためには、誰かに責任を求める癖を断ち切ると良い。犯人ではなく、原因を探そう。物事がうまく行かない時に、責めるべき人やグループを捜してはいけない。誰かがわざと仕掛けなくても、悪いことは起きる。その状況を生み出した、絡み合った複数の原因やシステムを理解することに力を注ぐべきだ。
ヒーローではなく、社会を機能させている仕組みに目を向けよう。物事がうまく言ったのは自分のおかげだという人がいたら、その人が何もしなくても、いずれ同じことになっていたかどうかを考えてみると良い。社会の仕組みを支える人たちの功績をもっと認めよう。
FACTFULNESS ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著
もう一度書こうか。「黒幕とは」じゃねえよド低脳。
これは右翼だけではなく左翼にも言えることで、ナオミ・クラインの著書「これがすべてを変える 気候変動vs.資本主義」から湧いて出てきたナオミフォロワー …— “気候正義戦士”たち、有名どころだとグレタ・トゥーンベリなど —は、気候変動の犯人として、大企業や先進国にその代償を払わせたいのだそうだ。しかし石油産業の社長やら、トランプやらを吊し上げたところで、それで 気候変動問題が解決するのか？するわけがない。
「黒幕」なんて思う奴は、まあそれがもし、ロスリングの言うとおりに「本能」であるなら理性をもってその本能を退けるのは大変な努力が必要であるけど、陰謀論者の世界観とは以下のようなものだろう：
どこか秘密の部屋でガウンを着て葉巻をくゆらせながらブランデーグラスを傾けている「黒幕」がいて、そいつが世界経済やら、何やらをすべて牛耳っている。
アーユー、馬鹿？（語尾：尻上がり）
まるで土曜の朝に放送している子供向けテレビ番組だ。その黒幕とやらを、スーパー戦隊だか、仮面ライダーだか、プリキュアだかが倒して、これで世界が平和になりました、おしまいと。
世界は誰かの思い通りになるほど単純には出来ていない。誰かの思い通りになる世界は今までも無かったし、これからも多分無いだろう。こんな幼稚な世界観をいい年した大人が持ち、あまつさえ「やっべえ、俺の脳ミソ、未だにスーパーヒーロータイムから卒業できねえ」と疑問にも思わない程、本能というやつは強力なのだ。
もう一度ロスリングの言葉を引用する：
誰かがわざと仕掛けなくても、悪いことは起きる。その状況を生み出した、絡み合った複数の原因やシステムを理解することに力を注ぐべきだ。
↑これ、理解してますか？スーパー戦隊、仮面ライダー、プリキュアの諸君。
ヒーローではなく、社会を機能させている仕組みに目を向けよう。物事がうまく言ったのは自分のおかげだという人がいたら、その人が何もしなくても、いずれ同じことになっていたかどうかを考えてみると良い。社会の仕組みを支える人たちの功績をもっと認めよう。
ヒーローとはスーパー戦隊でも仮面ライダーでもプリキュアでもなく、社会の仕組みを作り、支え、その構造を解明しようとしている人たちだと気づこう。
悲観主義で後ろ向きなネガティブ人間に未来を任せるな。ピンカー先生、出番です！
以下、引用は下記記事より。
2010年代になって世界は「ポピュリズム」と呼ばれる反啓蒙運動を目撃することになった．これは正確には権威主義的ポピュリズム（民衆の主権を強いリーダーが体現する形をとる）と呼ばれるべきものだ．
この権威主義的ポピュリズムはある意味ヒトの本性への押し返しと見ることもできる．すなわち部族主義，権威主義，敵を悪魔として扱う，ゼロサム思考を要素とし，それらを抑えようとしてきた啓蒙運動を否定するものだ．
ピンカーによると、これがヒトの本性＝権威主義的ポピュリズムなのだそうだ：
部族主義→自部族の優越は他部族を貶めなければ保てないチンケなプライドだ。
権威主義→王様は天空の神からこの国を統べよと委任されたそうじゃないか。壁画に書いてあったから本当だ！天皇家は万世一系だ！継体天皇の頃に一度途絶えたが、忘れてくれ！
敵を悪魔として扱う→だから殺してもいいんだ！
ゼロサム思考→私が儲からないのは、誰かが儲けているからだ！
上記のようなことを考えた事がありますか？私はあります。お恥ずかしい。つまりこのような考え方は、すべての人間に、工場出荷時にプレインストールされているわけで、これを克服するのは容易ではない。
この権威主義的ポピュリズムには右翼のそれも左翼のそれもある．そして両者とも経済をゼロサムの闘争だと誤解する素朴理論（左翼は階層間の闘争，右翼は国家間あるいは国民対移民の闘争の文脈で用いる）に従う．問題は世界の現実から生まれる不可避のチャレンジであると捉えず，エリート階級，外国，マイノリティの陰謀から生まれると考えるのだ．そして進歩を全否定する．
バカが大好き陰謀論。人間の脳は「物事の結果には原因がある」と考えるところまで進化したが、素朴理論の「雷が落ちるのは神の怒りだ」のまま進歩せず、科学の、エビデンスベースの考えは本能で理解することは不可能だということか。
そしてアメリカでドナルド・トランプの当選を後押しした．「Make America Great Again（アメリカを再び偉大に）」というトランプのキャンペーンスローガンほどポピュリズムの部族主義，後ろ向き思考をよく表しているものはないだろう．
最近は元気がないけど「日本を取り戻す」とか言ってるオッサンもトランプと全く一緒の、後ろ向き思考だ。ということは、未来に対して悲観主義になる思考は人類共通であり、何か人間の脳にプレインストールされているようだ。しかしエビデンスは、データは世界はかつてないほど豊かになっていることを示している。だとすればこの直感こそが間違っているのだろう。
つまりあなたが感じている直感 — 犯人探し本能であれ、権威主義的ポピュリズムであれ — は、そのように思考するよう脳が予め設計されているからで、あなたが考えた結論ではない。人間の脳は、その歴史の99%を過ごした狩猟採集社会で生き延びるように設計されており、当時と社会状況がまったく変わってしまった今では、その脳はバグだらけで科学という道具を通さなければ現実を正しく認識できないようだ。
「でも心の赴くままに行動しろって清涼飲料水の広告も、ヒット曲の歌詞も、映画も、そう言ってるじゃないか！」と思うかもしれないが、間違った地図で目的地へたどり着けると思っているのか？
あなたがそのように考えるのは黒幕がいるからではなく、嘘の結論に飛びつくように脳が設計されているからだ。あなたを操っていたのは黒幕ではなく自分自身の脳のバグだ。そんなものに踊らされている自分なんて、恥ずかしくないの？本能の赴くままに生きているのが誇り高いのなら「道を歩いていたらウンコをしたくなったので、道端でウンコをした」も、誇り高い行為になってしまう。
結論：そこのところ、どうなんですかねドーキンス先生？
生物界のデザインは自然淘汰で説明できる．ではヒトの宗教心もそうなのだろうか．ドーキンスはおそらくそうだろうと答え，物事の背後にエージェンシーとその意図があると過剰に感じる傾向が，重大なリスクに対する火災報知器原理によって説明できること，両親や身近な大人に教示されたことを信じる傾向もそれが進化環境で有利だったとして説明できることを指摘し，神を信じる傾向はそれらの副産物として理解できると主張している．これは宗教の副産物説ということになる．
「火災報知器原理」とは何だろうか？ネットで調べたら本当に火災報知器の原理しか出てこなかったので、英語で”The Smoke Detector Principle”と検索すると、いくつか論文が出てきた。咳などは病気のアラームではあるが、咳がひどいからといって病気が重篤である、というわけではない…という風に理解しましたが、間違っているかもしれない。
あなたが「物事の背後には黒幕がいる」と考えるのは、それが人類の生存にとって有利だったからで、それが真実かどうかは遺伝子には関係ない。遺伝子は子孫を残せさえすれば、その＜乗り物＞が嘘を信じて一生を過ごそうがお構いなしなのだ。
そして真実を知るには数学やら統計学を使う必要があるが、人間の直感はそのような数字を理解するようにはできていない。「物事が起きた原因にはこのようなシステムがあった結果であり、それは統計学的手法で解明された」とGoogle広告に出したら、果たして陰謀論とどちらがクリックされやすいだろうか？
「雷が落ちるのは神の怒りだ」といった程度の幼稚な「結果→原因思考」が、物事には「黒幕」がいると考える。その本能が「自然界の黒幕＝神」という概念を作り出したが、現実世界はそんなに単純ではない。
ここでロスリングの言葉を再度引用すると「誰かがわざと仕掛けなくても、悪いことは起きる。」を、人間の直感は理解できないから「幸運」だとか「不運」という言葉があるのだ。
おまけ：未来への希望
理性に対する懐疑主義者は，しばしば粗悪な偽進化心理学「ヒトはトラかもしれない茂みのざわつきに対し扁桃で考えて直感的に反応する」を用いる．しかし真っ当な進化心理学者はヒトについて異なった考えを持っている「ヒトは世界の説明を当てにする認知的な種なのだ．世界はヒトがどう信じるかにかかわらず存在する以上，真実の説明を行える能力へ強い淘汰圧がかかっただろう．」というものだ．つまり理性による理由付け（reasoning）には進化的なルートがあるのだ．（狩猟採集民の推論能力についてのリサーチの紹介がある）リアリティは強力な淘汰圧になる．
この辺りが未来への希望だろうか。
おまけ2：君の敵を選べ！
暇だからAUTOCAR編集部に問い合わせてみよう
「ネット広告は見ている人に合わせてカスタマイズされているんだ。エロ広告ばかり出るのは、お前がエロサイトばかり見ているからだろ」とでも言うのだろうか？失礼な！エックスビデオは最近同じ動画ばかり表示されてうつまらないから見ていない。
