30年ぶりに訪れたプールリゾートは驚くほど劣化しており自分や社会と照らし合わせて「人類は衰退した」と錯覚する
TL;DR
毎年日本を訪れている台湾人家族が今年もやってきたので、彼らを大磯ロングビーチというホテルや大型プールがあるリゾートに連れて行ったのだけど、連れて行った私が施設の劣化に驚いた。
1980年代中盤の思い出
私が子供の頃に「プール」といえば、小汚い市営のプールしかしらなかったので、大磯ロングビーチというのは憧れだった。何しろ入場料が高いので、午後2時から入場できる割り引きチケットを、更に割り引きで入手できる労働組合だか、なんとか団体経由から購入してで行くしかなかった。
しかし施設はピカピカ、眩しいほどの白い建物と巨大なプールは、さすが、金持ちのためのリゾートである!といった風情だった。当時、脱衣所棟の窓際に置いてあったアーケードゲーム、それはアフターバーナーでありサンダーブレードだったけど、1980年代後半の「セガの体感ゲームのピーク」も子どもの私にとっては驚異的だった。
親戚たちと一緒に大磯ロングビーチへ行き、夜に大磯駅に着いたとき、駅前の喫茶店でまずい食事、それは冷凍ピラフのようなもので、今のスーパーマーケットで買える「おいしい冷凍食品」とは似ても似つかぬものだったけど、それを楽しみながら食べたことも子供時代の大切な思い出だった。
2020年代中盤になってから
まず大磯駅から出発するバスの到着場所が、入口が当時と異なっていたので驚いた。当時と違い、現在は海側の駐車場に到着していた。
着替えスペースのある棟はこの30年の間に薄汚れ、あの「すべてが清潔なリゾート」はどこへ行ったのか?特にトイレが汚くて臭くて、二度と行きたいとは思わなかった。あれ?水回りって10年ごとの改修しないと「古い学校のトイレ」みたいになるってわかってるでしょ堤さん?死んだの?鎌倉にある豪族の古墳のような墓で眠ったまま出てこないの?
何か、初っ端からがっかりなリゾートに成り果てた大磯ロングビーチだった。施設内の食べ物の値段も高いのは仕方がない。仕方がないが、まずくて高い食べ物を買う気にはならないので、「タイのロティ」ののぼりを掲げたお店で、バナナとチーズ&ハムのロティを買った。
お店の女性は「ロティって知っていますか?」と聞いたので、「名前は聞いたことありますけど」と答えた。ほとんどの日本人はロティを知らないので、売れないのだろうか。頑張ってほしい。皆さんも大磯ロングビーチを訪れた際はロティをどうぞ。ロティおいしいよ。値段が高いのは場所柄仕方がないだろう。
台湾から来た男の子にロティをあげたら「600円?高いね。タイで食べたときは150円だったよ」と言っていた。
自分の肉体的衰えを世の中と重ね合わせて「時代が衰退している」と思い込むのは間違い
どうも、右翼も左翼も、真実を認識できない残念脳ミソどもは「人類は衰退している*」と勘違いしているし、私のような中年も、自身の肉体的衰えと時代を重ね合わせて「どうも社会は衰退しているのでは?」と錯覚してしまうが、これは皆が勘違いしてしまう「間違い」であり真実ではない。
日本社会に暮らす者なら、「汚くて臭いトイレ」に成り下がった高級リゾートは、日本経済の低迷と重ね合わせて考えてしまう。しかし私は世代的にいわゆる「バブルの恩恵」など受けたこともなかったし、私が偶然生まれた家庭は金持ちでも何でもなかった。「バブルの恩恵」を受けたのは、自分の手柄でもないくせに駅前の一等地に偶然、土地を持っていた農家の田吾作野郎の子孫たちだけだった。寝ていても金が入ってくる気分って、どんなものなのでしょうね?
もし「日本経済のピーク」が80年代だったとしても、私は80年代に戻りたいとは全く思わない。今の方が良い暮らしができるからだ。バブルの頃に、スマートフォンとかありました?コンピューター?CPUがZ80の8ビット機しかなかったし、インターネットなんて存在しなかった。家の中にエアコンのある部屋なんて1つしかなかったし、トイレだってシャワートイレではなかった。風呂だって沸かすのに、いちいち家の外まで出て、ガス釜にマッチで火をつけなければならなかった。
それを「昔は良かった」と言う連中がいるとしたら、健忘症だろう。
私は今も昔も金持ちではぜんぜんないが、「昔の金持ち」の金づるは「汚くて臭いトイレ」を見るように、消えていなくなったようだ。
*この客観的データを提供するサービスから「人類が衰退した証拠」を見つけられたら教えてくれ