これがBBCの真骨頂だがありきたりな論評だ:日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている BBC東京特派員が振り返る
CNNにこのような記事はない
久しぶりに骨のある記事を読んだ。離任するBBC東京特派員が日本の「失われた30年」を振り返る記事。このような骨のある日本論評は、残念ながらcnn.co.jp にはなくて、あっちはせいぜいが英語記事の翻訳に終止しているからだ。それも「アメリカの田舎町に住む何某氏が宝くじにあたった」とかいう、割とどうでもいい記事まで翻訳しているのが残念だ。CNNにも東京特派員がいるはずなのに。
記事の内容はかいつまんでみると日本の「失われた30年」について、まあそう思うよね、と思われる内容を書いていた。ここで「そっちこそどうなんだ論法 / whataboutism」で返すのは頭の悪い証拠なのだけど、イギリスってどうなんでしょうかね?
イギリスの1970年代は「英国病」と呼ばれるような経済の低迷時期があったのだけど、では今はどうなのでしょうか?「貧乏人が沢山いる金持ちの国/主な産業は英語とビートルズ(最近はハリー・ポッターに変わった)」という印象です。1980年代のサッチャー政権の新自由主義での経済成長がこの2023年まで続いていると?
1980年代後半に、日本国民はアメリカ国民よりも裕福だった。しかし今では、その収入はイギリス国民より少ない。
まあ、そうだけど豊かさはGDPだけでは測れないでしょう。「日本国民がアメリカ国民より豊かだった1980年代」と言われても、日本人全員が豊かだったわけではないし、ではもしタイムマシンがあったとして、私は1980年代に戻りたいか?というとインターネットもスマートフォンもない時代に戻るなんて絶対に嫌だ。当時、私の自宅にエアコンが取り付けられた部屋は1つしかなく、夏の暑さや冬の寒さで体を壊すこともあったし、シャワートイレなんてなかったから快適でもなかった。道を走るトラックやバスの排気ガスはひどかったし、昔の人間の運転は荒っぽかったから毎年1万人以上が交通事故で死んだ。医療技術だって、今じゃ癌の摘出手術なんてお腹に小さな穴がいくつか開くぐらいだけど、当時は開腹手術だったから入院期間も長かった。歯科治療だってめちゃくちゃ痛かった記憶がある。これら技術の進歩やモラルの向上による「生活の質の向上」は、GDPに現れますか?
しかし、高齢者が亡くなり世代交代が進めば、変化は避けがたい。だからといって、日本が今よりリベラルに開放的になるかというと、私は必ずしも確信できずにいる。
若い世代はより開放的な価値観を持つようになってるよ。それは世界中、どこでも同じでしょう。
確かに、私は日本の未来を心配している。そして日本の未来は、私たち全員にとって教訓となるだろう。人工知能(AI)の時代には、労働者の数が減っても技術革新は推進できる。高齢化の進む日本の農家も、AIロボットが代役を務めるようになるかもしれない。国土の大部分が自然に帰ることだってあり得る。
なんだコイツも「技術音痴の文系」か。AIは特定の学術領域を指す用語に過ぎないし、「AIの時代」というのが何なのかさっぱりわからない。そんなこと、60年代にも80年代にも同じようなことを言って、また騙されてるの?(第三次AIブーム=30年ぶり3回目)「AIロボット」ってなに?ここ10年くらいロボット技術になにか革新でもありましたっけ?新しいサーボモーターがどうとか、聞いたことがないのですが。あなたのいう「AI」とやらも「ディープラーニングによる画像認識精度・速度の向上」と用語を訂正したほうがいいし、それだって突き詰めれば「本質的な意味ではコンピューターは画像を”認識”していない」し、新しい技術ができれば、さらに別の職業が生まれるでしょう。
「AIに仕事を奪われる」とかいう寝言だって、せいぜいが「駐車場の入り口の電話ボックスのような場所に座っていた老人が、自動チケットマシンに置き換わった」程度のもので、それってAIとは全く関係ないでしょう。昔の「Mr.ビーン」にも登場しますよね、駐車場のチケットマシン。あれ、AIなのですか?「多くの人がAIと間違えて呼んでいる画像認識技術に奪われる仕事」って何でしょうか。教えてほしいものです。
まあ、次のリセッションで「第3次AIの冬」が来るのはほぼ確実でしょう。そうしたら、このようなたわごとを言う人が減る。「駐車場の前でただ座っている人」など、最初から人間がやるべき仕事ではなかったからだ。
日本は次第に、存在感のない存在へと色あせていくのだろうか。それとも日本は自分を作り直すのか。新たに繁栄するには、日本は変化を受け入れなくてはならない。私の頭はそう言っている。しかし、日本をこれほど特別な場所にしているものをこの国が失うのかと思うと、つらい思いでいっぱいになる。
すみません、私のアタマが悪いのか、翻訳が悪いのか、意味がわかりませんでした。「日本(社会)は変化を受け入れなければ繁栄できないと思っているが、それと同時に特別な場所ではなくなってしまうのかと思うと、つらい」ということ?「どっちやねん」と大阪弁で返すべきだろう。
「存在感」って、誇示しなくちゃいけないんですかね?日本の戦後の経済成長は人口ボーナス期や、その他色々な要因が重なった結果であり、いまは中国の人口ボーナス期が終わりつつあり、次はインドかアフリカか。順番に皆が貧困からの「大脱出」をして、いいことじゃないですか。何か問題でも?
貧困から脱出するためには、まずは経済成長だと。それは日本だけではなく多くの国の人々が実感していることだろう。では、その経済成長は永遠にし続けなければならないのか、というと、どうでしょう?産業革命による経済成長の先頭を走ったイギリス国民として、あなたはどう思われますか?
人間の幸福の度合いとは、ある程度までは収入に比例するが、ある程度をすぎると「ちょっとリッチ」でも「世界一の大金持ち」でも幸福度はあまり変わらないという話を聞いたことがある。
「ある程度までは収入と比例する」とは、すなわち食べるもの、住む場所、病気になったら病院へ行けるか、学校で教育を受けられるか、1年365日働き詰めではなく休みを取り、家族や友達と余暇を過ごせるか、といったことだろう。これは誰もが欲しいものだ。
しかし、そこから先はどうだろうか?記者がイギリス人なのでイギリスのたとえをするが、昔、馬車に乗っている人は例外なく金持ちだった。馬車の所有者の中でもとりわけ有名なコーチビルダー製の馬車に乗っているからあいつは特に金持ちだろう、といった会話がされることはなく、馬車は馬車だった。ところが今はどうだろうか。「あいつはインド製のタタに乗っているが、あちらはロールス・ロイスに乗っているから貧乏人と金持ちだ」と言えるのは、自動車メーカーがせっせと広告費を捻出して消費者を教育した結果だ。「自動車を持つことによる便益」は、自動車を持たないことと比較するなら「ゼロか100か」であり、そこにどの自動車、馬車だろうと同じことであり、大した違いはない。タタとロールス・ロイスと値段差が100倍だったとして、便益も100倍だろうか?幸福度も100倍だろうか?どうも、そうではない気がする。
「永遠の経済成長」のためには、技術革新が永遠に続くという見通しに依っている。それが本当に実現するかどうか、私は知らない。「将来の富」のための原資が、皆が考えているよりも実際には遥かに使い所が限定されてしまうような「AI改め、画像認識技術の向上」だったとしたら期待はずれになるだろう。しかしその一方で癌ワクチン開発の技術的な見通しが立ったなど、明るいニュースもある。
それよりもGDPの数字の現れない豊かさはどうだろうか?業務スーパーへ行けば、本場イタリアから輸入してきた冷凍ピザが400円で買える。円安になる前はもっと安かった。これが「日本がアメリカより豊かだった1980年代」に、同じ価格で手に入っただろうか?そんなもの買えなかったんだよ(当時は、円安の今よりもっと円がやすかったという理由もある)。
同じものが、時がたつにつれてどんどん安くなった、という体験を、私の親の世代は卵で実感した。私の場合、それはコンピューターだった。つまりインフレ率以上に、私たちはモノの値段の下落により多くのもの、より優れたものをより安い価格で買えているわけであり、これもGDPには現れない。
なので、GDPを豊かさの唯一の尺度としているような論調の記事に関しては「なんだアンタ、技術だけでなく経済も明るくないのか」と思ってしまう。
“お前だって論法”は止しましょう
ほんと、これがイギリス人が書いている(しかも労働者階級ではなくBBCに入局できるような学力を得るための金銭的リソースを持った家庭に生まれたおそらく白人である彼)というところで、私の足りない脳ミソはどうしても「イギリスはどうなんだ?未だに<大英帝国の残照>として、<昔、金持ちだったという祖父母の遺産で暮らしている>ようにしか見えないのだけど」とでも言いたくなる。
確かにイギリスには、ダーウィンやマクスウェルから、ブロンプトン式自転車折りたたみ方式を考えたリッチーまで、人類の進歩に多大な貢献をした偉大な人物が生まれた国だ。しかしその一方で、下の漫画の著者がイギリス旅行で経験したような「英語が得意ではない外国人に対するマイクロアグレッション」もあり、私の海外旅行先としてはあまり興味がわかない。
先月、新婚旅行でイギリス旅行をしてきたというシンガポール人の友人は中国系なので見た目はアジア人だが、英語が得意なのでこのような目にあいにくいだろう。旅行はどうだったか今度聞いてみよう。
あの記事の著者も、30年間にわたる日本ぐらしの総括としては、まあそんなもんだろうという内容だった。しかし現地に住んでいるローカルの私としては、「<本音と建前>で日本人論を語る、ありきたりで退屈な内容」であるばかりか、日本社会の硬直が、若い世代への交代によって変わるとは思えないと特に証拠も示さず思っている他、やっぱり記者って技術音痴だなと思われる内容も目立った。とはいえ私が今ここに書いているような内容をBBCに載せろと言われたってできるわけがなく、妥当な内容であり、妥当な内容を書けるのは自身のセルフコントロールのなせるわざであり、それができるのは教育のたまものであり、教育があるのは彼がそのような家庭に生まれたからであり、それは彼の手柄ではなく「生まれたときに<親ガチャ>に当たったから」という気がしてならない。
イギリス社会って何かドラスティックに変化しましたか?王室とか貴族とかなくなりました?御高説どうも。成田空港はあちらです。