これは要するにWindows向けApple Magic Keyboardだ:なぜ私はマイクロソフト デザイナー コンパクト キーボードを買うまでこんなに悩まなければならなかったのか?

Hiroki Kaneko
May 4, 2023

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おそらく皆さんもそうだと思うのですが、仕事先で貸与されるPCというのは、それがデザイン系の会社であったり、自称「社会を変革しようとしている」ベンチャーでもない限りはMacを貸してくれず、大抵はWindowsが動くPC、というのが相場ではないでしょうか。そういったものは自分の好みとは異なるキーボードがはじめから付いており、仕事中の最低8時間、なにか自分の思い通りにタイピングできない違和感を覚えながらそれを使うというのは苦痛でしかなく、ここに仕事とは直接関係のない「キーボード選びの長い旅」に出なければならないのでした。ちなみに私はMacBook Air (2022)のキーボードにおおむね満足しており、最初からこれを使わせてもらえるならこんな仔細なことに悩まなくても済んだのです。

キーボードというものは個人の経験や好みが如実に反映される入力デバイスであり、その人が今までどのようなキーボードを使ってきたのか、そのキーボードで行いたい作業はなにか、によって「当人にとっての正解」は千差万別です。私にとってはそれが長い間 Happy Hacking Keyboard であったのですが、あのSun Type-3配列で行う作業がコーディングなら良かったものの、日本語を入力するとなると日本語・英語切り替えキーが無いのは使いづらい。Linux ガイならおなじみのShift-Spaceの組み合わせは他のIDE とキーコンビネーションがぶつかってしまう。では日本語キーボードは?というと、あの犯罪的な「半角/全角」トグルキーだけは許せない。あのキーが発明されたがために、一体どれだけの日本語話者が「全角だと思って入力したら半角だった、もしくはその逆」としてミスタイプに貴重な入力時間を奪われたことか。あんなモノ、今すぐなくせばよい、と声高に叫ぶことができるのはWindows 10 May 2020 Updateになってから、「無変換」「変換」キーにそれぞれIME OFF / ON を割り当てられるようになってからでした。それまでの「無変換」「変換」キーって、誰か使った人はいたでしょうか?大勢がなんとなく「日本語キーボード」とか「JIS配列」だとか呼んでいるキー配列の、あの短いスペースキーの右脇に付いている「カタカナひらがなローマ字」と書かれた謎のキーも一体何に使うのかしらないままですし、あれら無駄なキーのせいでスペースバーがどうみてもバーとは呼べないくらいの短い代物になってしまっていることを、苦々しい思いで20年だか30年だか、眺め続けていたのでした。それがどうでしょう?Windows 10 May 2020 Updateで手のひらを返したように「無変換」「変換」キーの役割を、Macでいう「英数」「かな」と同じにしようということは、あのOADG何とかコンソーシアムだかが考えた、日本語ワープロ専用機の流れをくむ、あの醜い日本語キーボードレイアウトは全くの無駄であり、Appleの日本語配列が正解でした、と言っているようなものだったではないのか。だとしたら、それまでの何十年間、Windows PC を買うと漏れなく付いてくるあのクソみたいな”日本語キーボード”とやらは何だったのか?全くの無駄だったじゃないか!

ではAppleが常に正解だったのかというと、とてもそうとは思えず、あの「矢印キーが一直線に並ぶ」使いにくいキーボードレイアウトを90年代半ばまで続けていたことが私にはどうしても忘れられない。このレイアウトの源流はApple II が途中まで矢印キーが左右だけ付いており、上下矢印キーは存在しなかったのが原因ではないかと勝手に思っていて、その原因の原因というのも、当時スティーブ・ジョブズが「マウスがあるんだから矢印キーなんていらないだろ」と言ったとかいう伝説がある。何言ってるんだてめえ、矢印キーは必要だろ。詳しくは The 8-Bit GuyのYouTube 動画で、矢印キーについて考察している回があるので見てほしい。

https://www.mac-paradise.com/htmls/1100000063193-10.html

さて、本題のマイクロソフト デザイナー コンパクト キーボード(以下デザイナーと略)の使い心地についてのメモだけど、この記事もそのデザイナーで書いていて思ったのは、これはWindows (やSurfaceなどMSプラットフォーム)向けのApple Magic Keyboardだ!というものだった。Bluetooth キーボードというと、AnkerのキーボードがAmazon で¥2,000程度で購入できるのに、なぜいまさら同じようなものを¥8,690円(税込み)も出して買わなければならないのかと思うでしょうが、Ankerのキーボードを使ったことがある人ならわかると思うけど、あのキーボードはApple Magic Keyboardに似ているくせにその質感ときたら単なるプラスチックの安物だ。それに比べればこのデザイナーは重すぎず軽すぎず、プラスチックではあるものの、つや消しをしているのか落ち着いた色調だし、キータッチも、なんというのか、MacBook Airのそれに比べてもう少しゴムっぽいというか。キートップを撫でた感じはデザイナーは、やや指掛かりがある、というのか?摩擦係数が高いというのか?これも私が好む要因だった。キータッチはMacBook Airよりも押下圧が少しあり、これも悪くない。指の腹で、バタバタっと下品に叩いてしまえばよいのだ。これはピアノではないのだから、指の腹で叩いてもよいのだ。ピアノを指の腹で弾く、ブーニンというロシアのピアニストがいたなあ。

私も含めた人々が、なぜキーボードの配列に拘るのかって?もしあなたがピアニストだとして、鍵盤の配列が「ドレミファソラシド」だと思ったら、ピアノごとに「ドミファシラソレド」だったり「ソミシドファソラ」の配列だったら困るだろ!?そういうことだ。

キーの大きさまで同じだ

写真左が、HPの15インチノートにデザイナーを載せたもの。右側、テンキーの1列目までキーボードがはみ出ているのがわかるだろうか?つまりHPのキーボードは幅がないのだ。
写真右はMacBook Airにデザイナーを載せたもの。驚くほどぴったりだ。Macユーザーがデザイナーを気に入る理由は単に配列にあるわけではなく、指が覚えてしまっているそのキーの大きさにあるのではないか。というかHPのキーボードがだめすぎるんだ。

デザイナーの日本語キーボードに関して言えば、Macでの使用時にあCommandキーになるWindowsキーが狭いのと、あの憎き「半角/全角」トグルキーがあるおかげで同じ列の右側、「¥」キーとBackspaceキーが少し幅が狭いのも気になる。これは英語配列を買えば解消される問題だけど、今回の私は日本語も快適に入力したいため、「無変換」「変換」キーが付いていることが必須要件だ。なにせ、Apple Magic Keyboard をWindows で使用すると、「英数」「かな」キーが反応してくれないのには困ってしまう。この問題を解決するために各種ドライバーも用意されているが、客先から貸与されたPCにそのようなものはインストールしたくない。
絵文字キーはWindowsでは動くようだけど、Macでは動かないようだった。

結論

マイクロソフト デザイナー コンパクト キーボードは、Appleのキーボードに概ね満足しているユーザーが仕方なく客先貸与されたPCでWindowsを使用する時のMagic Keyboard代替品としてのキー配置、質感、などを備えていた。問題は高価と思える値段だけだが、私はAmazon アウトレットで一度開封したとおぼしきデザイナーを¥6,000強で買えたので、おおむね満足した。これで仕事が楽しくなる。しかし最初から自前のMacを使いたいなあ。

この記事はマイクロソフト デザイナー コンパクト キーボードで書きました。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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