こんにちはTeraTerm、A5M2、そして
弘法筆を選ばず、と言うけれど
皆さんは知らないだろうが、スマホメーカーが昔パソコンを作っていた。Appleという会社だが聞いたことがないだろう。その創業者がNeXTという名のコンピューターとプリンターとそれを作る工場をキヤノンの出資で作っておきながら「日本人は腐った魚のような目をしている」と今どきトランプでも言わない人種差別的セリフを吐いたことも、そのハードウェアで動くOS一式を作っていたことは、更に更に知らないだろう。その400万円也の、NeXT Computer System一式を個人で購入する人といえば当時の日本では、医者か弁護士か、惚れ込んだ末に借金地獄にダイブするド変態ギーク英雄しかいなかった。
そんな90年代にMacBros.というサブカル雑誌があって、Macの雑誌のくせに何故か他のPC/OSのロードテスト?のような連載があった。Amiga, Sun, WindowsそしてNeXTの連載だった。
日本でNeXTユーザーといえば医者か弁護士のお歴々の他に、前述のド変態ギーク英雄がいて、そのような先進的な人間は、NeXTで仕事がしたいために客先にNeXT Computer System一式を持ち込んで、それで仕事をしていたという伝説があった。なぜ彼らはそのような事をしていたのか?NeXTのために開発されたNEXTSTEP OS は、その後のMac OS X = macOS 11 = iOS/iPadOSであり、UNIXベースのOSなのだからSunでも代役は務まらないのか?と思ったものだが、件のMacBros.の連載に「NEXTSTEPのTerminalは絶品であり云々」といった一文を見つけ、おそらく「客先NeXT」の英雄たちはそれが理由でNeXTユーザーなのであり*1、その「絶品」がどのようなものなのか現物を見たことのない私は想像するしかなかった。そして時は流れ、NEXTSTEPはMac OS Xと名を変えてようやく私の目の前に登場した時、ようやく私も「絶品」を味わえる!とばかりにTerminal.appを起動したが、当時のTerminalは日本語が使えるようになるまで結構な年数が掛かり*2、一体これのどこが「絶品」なのかは分からずじまいだった。
1)仕事がNeXTのネイティブアプリ開発なわけがないので
2)当時のUNIX系OSの慣習に倣い、NEXTSTEPでの日本語文字コードはEUC-JPだったのが、Mac OS XになってUnicode/UTF-16をOS内部で使うようになったせいでTerminalに表示するまでに一旦文字コードの変換をかける過程で文字化けが起こっていたと記憶している。この文字コードの混乱がようやく落ち着いたのが10.4 “Tiger”か10.5 “Panther”あたりだったのでは?
絶品は分からないが、ひどいターミナルが何なのかは知っている。Windowsの「コマンドプロンプト」とTeraTermだ。
まるでPC-98を思わせるどデカイ16ドットフォントをこの2021年に眺めていると、二度と戻らないあの懐かしい日々のサウダーデ、といった感傷は全く無い。Retinaディスプレイで育った世代が新人エンジニアとして入社して、使わされるのが未だにこのTeraTermだ。若い皆さんごめんなさい、人類は進歩していません。
ずっとWindowsばかり使っている方々からは「最近ならrLoginというターミナルがWindowsでは良い」という声が聞こえてきそうだが、客先ネットワークのフィルタリング機能により、個人Webサイトにzipファイルが載っているだけのような古式ゆかしい配布方法では入手できないのだ。
そしてRDBMSクライアントとしてA5:SQL Mk-2。何と発音してよいのか未だにわからない。エーファイブエスキューエルマークツーだろうか?歌舞伎町も真っ青の原色と蛍光色アイコンが目に痛く、加齢臭漂うインターフェースのまま64bit対応を果たし、未だ現役。スマホで育った新人ソフトウェア・エンジニアの皆さん、このUI理解できます?
これらの頼もしい、手に馴染んだ道具で私は2021年にもなって日々仕事をしているのだ。スマホアプリの開発とかやりたいです。
追伸:あとサクラエディタ!2021年になって未だに皆現役で使っていて驚いた。私はVSCodeにした。