そうか、わかった。電動アシスト自転車は「マイルドハイブリッド自動車」と同じだったのか

Hiroki Kaneko
Jul 24, 2021

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初めて電動アシスト自転車に乗った

一度、電動アシスト自転車に乗ってみたかった。しかしこの乗り物は、ママチャリ型で最低10万円から、スポーツ自転車型になると30万円からと、私のような貧乏人がおいそれと買える値段ではなかった。なぜなんだ、なぜ未だに高価なのだ?90年代、ヤマハPASが発売した時、その値段はおよそ10万円だった。ママチャリに10万円!まあ今買わずに待っていれば、そのうち大量生産によりコストが下がり、安くなるだろうと高を括っていた。そうしたらどうだ!電動アシスト自転車の値段は下がるどころか上がり続けているじゃないか。しかし今の電動アシスト自転車は、当時のものと比べて航続距離が伸びており、商品としての価値は上がっているのだから値段アップも仕方がない、と思うだろうか?それで納得できるだろうか?私のような世代は、PCの値段低下と性能向上が永遠に続くのでは?というような幸福のサイクルを見続けていた世代なので、航続距離が10km伸びた程度ではなんとも思わない。

電動アシスト自転車はどこで乗れるんだ?

買えないのなら、借りよう。地元の自転車店を検索したが、電動アシスト自転車をレンタルしているところはなかった。国内メーカーだとヤマハだとかパナソニックが、電動アシスト自転車の試乗会というものを定期的に開催しているようだったが、乗りたいのはママチャリ型ではない。
駅前を通りがかったときに、デパートの前にシェアバイクの駐輪場があった。果たしてそれは電動アシスト自転車(ママチャリ型)であり、家へ帰ってネットで検索すると、スポーツ自転車型も、値段は倍だが貸しているという!これはもう、我慢ができない。さっそくアプリをダウンロードして自転車を借りに行った。

サドルを目一杯上げてこれだけか

サドルは手前のレバーを倒すだけで上に上がる、とても扱いやすい機構ではあったけど、いかんせん高さが足りない。身長178cmの私から見ても、あと5cmは上がらないと「スポーツバイクの姿勢」にならないのだ。これにはがっかりした。

自転車としてのスペックを少し見たところ、ディレイラーはシマノAlivioだから後ろ8段か?前は電動らしく1段だった。ブレーキは前後ディスク。フロントサスはSRサンツアーと、台湾のメーカーが作っているらしい自転車の、順当なコンポーネント選択だった。タイヤは42cか、それ以上の太さだったのでフロントサスは不要では?と思った。
肝心のモーターはシマノ製。シマノの電動コンポーネントだと、バッテリーは内蔵型ではない筈だがこの自転車はフレームのダウンチューブにバッテリーが内蔵されており、見た目はスッキリしていた。

漕ぎ出しが軽い、時速24kmは遅い

ハンドルバーにはシマノのサイクロコンピュータと、貸し出し・返却をするためのコンソールが付いていた。スマホアプリに表示された暗証番号をコンソールに入力するとレンタル開始。サイクロコンピュータでアシスト量を「HIGH」にして、漕ぎ出してみる。

漕ぎ出しは軽い。しかし日本の法規制により、時速24kmに到達すると電動アシストが切れるので、面白くない。24kmというのは、案外すぐに到達できる速度であり、しかも思ったほど速くない。頑張って人力で漕ぎ続けると30kmに到達。これくらいまではアシストしてくれないと、電動アシスト自転車の意味がないのではないか。だって、「電動アシスト自転車なら自分の体力以上に遠くまで行ける」と宣伝文句は謳うが、遠くまで行って帰ってくるなら30km巡航ぐらいしないと日が暮れる。

激坂もなんとか登れるレベル

坂道がどれほど楽に登れるようになるのか、ちょっと徒歩でも疲れるレベルの坂道へ行ってみた。結果は、なんとか足を付かずに登りきれる程度のアシストであり、これが全て人力なら登りきれなかった。しかし疲れることは疲れる。思ったほどのアシストではなかった。

停止→発進に威力。ということはこれはマイルドハイブリッドじゃないか

スポーツ自転車だと、ギアを重くしたまま停止すると、漕ぎ出しが重くて困ってしまう。しかし電動アシストなら、停止からの発進が楽だ。これが私が感じた、電動アシスト自転車最大のメリットだと感じた。
それって、自動車でいう「マイルドハイブリッド」ではないのか?軽自動車によくあるマイルドハイブリッドは、バッテリー容量が少ないので燃料を最も消費する発進時にモーターでアシストして、結果的に燃費を良くする戦略のようだ。だとすると、電動アシスト自転車も「マイルドハイブリッド」だ。漕ぎ出して24kmに到達したら、あとは人力なのだから。少なくとも日本ではメリットはそれくらいしかない。

この程度の自転車の工作精度では「チャリヲタのペット」にはなれない

デザイン。確かにママチャリよりかっこいいし、バッテリーがダウンチューブに内蔵されているのは見た目も良い。しかしどうにも「ホームセンターの激安MTBルック車」の匂いがして、この自転車に、仮に30万円からの大金をはたいて自分のものにして、愛玩したいか?と自問すると、どうもそうではない気がする。

いかがでしたか?自分に聞いてるんだよ!「思ったほどではない」が正直な感想だった。一度体験したおかげで、電動アシスト自転車に憧れることも少なくなるだろう。少なくとも、日本の法規制が緩和されるとか、次の世代の電動アシスト自転車が出るまでは。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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