たった2小節で人を感動させるのだから大したものだ。Dream Songs: The Essential Joe HisaishiをAmazon Prime Musicで聞く
四半世紀ぶりに聞いた久石譲
私のようなオタクのオッサンは久石譲より彼の弟子の古代祐三のビデオゲーム・ミュージックで育っているのでそちらの方が好みなのだけど、多数派のつまらん地球人どもは久石譲というと、どうしても宮崎駿のアニメで聴いたことがある、ということになり、「久石譲が好きです」などと言おうものなら、これは高度経済成長期の「巨人大鵬卵焼き」と同じ「お子様趣味」というものではないのか?と公言するのが少し恥ずかしくなる。
というのも、いつかテレビで見た番組 — それは若い日本人女性バイオリニストがアメリカで活躍しているという内容だったが — “彼女が尊敬する人物はマイケル・ジョーダンと宮崎駿。各分野でトップを取る人間が好きなのだ”みたいなナレーションがあり、それを聞いた私はと言えば「巨人大鵬卵焼きのお子様趣味ですね」としか思わなかった。その俊英バイオリニスト氏も「やっぱりアニメで言えばあのロリコンジジイの宮崎より原作レイプの今川泰宏の演出の方が面白いと思います」ぐらい言えよ。つまんねえな。そんなガキみたいな頭の中の人間が弾くバイオリンが良いわけがない。彼女の名前は失念した。
普段何気なくBGMにしているAmazon Prime Musicで偶然、久石譲のアルバムDream Songs: The Essential Joe Hisaishiが表示されたので、どうせ無料だからと聞いてみた。アニメやら(宮崎アニメばかりでアリオンとかは無い)実写映画やらの「皆様御存知の」有名曲ばかりであり、それを私は四半世紀前によく聞いていたのだけど、今聞いてどうだったか、といえば6トラック目のWater Traveller(水の旅人)にドハマリして、ずーっと繰り返し聞いていた。この大林宣彦監督の映画の出来がどうだったのかは知らないけど、メロディが良いのか、演奏のロンドンフィルが良いのか、たぶん両方でもあろうけど、ここで久石譲の仕事といえば2小節のメロディを書いただけではないのか?そのメロディとは以下のようなものだ:
ドレ♭ミドソファ♭ミレ♭ミファ♭シ♭シ♮ラ♭シドレ(変ロ長調)
あ、私、子供の頃にピアノを習っていたせいで耳コピーできます。
これをオーケストラの各楽器で手を変え品を変え演奏し、何度も転調し、たったそれだけだ。2小節書いただけで儲かるなんてボロい仕事だろうか?そうだろう。しかしこの2小節を思い浮かぶだろうか?私は思い浮かばない。しかしこれが、たった2小節だけで何か川の流れのように、澄み切った小川が最後は大河になって海に注ぐような物語性を感じる(ついでに言うと作曲者本人によるピアノ演奏は、演奏専門のプロ奏者と比べて上手だとは思わない)。
その他に良かった曲
KIDS RETURN
室内楽でストリングス+ピアノのみで盛り上がる感じがとても良い(他にもオーボエかサックスが重なるけど)。大好き。このメインとなるメロディも「ソファレ♭シラ♭シレソ・ソファレ♭シラ♭シミ」だけだ。