よそ者には貸さないよ!店舗物件の取得に2回失敗した話
会社員が店舗物件を借りてよいのか?
自分で店を始めようと思い、不動産屋のWebサイトに張り付くこと数ヶ月、ようやく良さそうな物件が見つかったのが昨年末、しかし当時は会社設立もしておらず、自分自身は前の会社の社員であったので、そのような身分で物件を借りてしまってよいのか迷った。不動産屋(この会社をAとする)の担当者は話を早く決めたいのか、「今のうちに契約して物件を押さえてしまって、年明けから使うということにしましょう」と言った。確かにそうかもしれない。しかし人気物件でもなさそうだし、今、自分のポケットマネーで初期費用を出してしまってよいのかも不安だった(これは「代表者借入金」とすれば良いことが後にわかった)。なので、物件を借りないまま年を越し、私は退職、年明けに会社を設立した。これで法人契約で物件を借りられるだろう。どこの馬の骨とも分からない会社員よりは信用がある筈だ、と思った。
家賃保証会社というものがある。店子が家賃を未払いした時に、代わりに家賃を大家に払ってくれるのだそうだ。この仕組をよく分からない私は「クレジット会社が、クレジット払いでやればいいんじゃないの?」とは感じたが、これは大家が決めたことなので逆らえない。そして私の信用のない個人名義より、信用のある、謄本もある、ちゃんとした、会社の法人名義で借りて見事に審査に落ちた。不動産屋は「管理会社は別にあるので、なぜ落とされたのかよくわからない」という。それ以外はもう分からないと。不動産屋の担当者も年が明けてから変わっていた。昨年対応していただいた中年男性は、質問すればすぐに返事をくれる「打てば響く」ような対応をしていただき頼もしいと思ったものだが彼は私と同様昨年末で退職したようで、後任には彼より若い、話し方に関西のイントネーションがある男性が付いた。彼は電話でもメールでもそうだが何を言っているのか私は理解できず、また敬語も知らないようで「させていただきます」を連発する。彼の育ったであろう関西では必要以上にへりくだる文化があるのかもしれないが、全国ルールではかえって失礼に当たる。
「させていただきます」は先方の許可が必要な場合に使う言葉だ。これは「よろしかったですか?(過去)」「〜になります(未来)」という時制のおかしな敬語もどき、「バイト敬語」の一種であろうとも感じる。おそらく関西のお笑い芸人あたりがテレビで広めたのだろう。(「めっちゃ」も既に全国で使われるようになった)とにかく彼とは気が合わなかった。のでその不動産会社に相談するのは止した。
別の不動産会社経由(この会社をBとする)で、私の仲間が色々と物件を見て回ったが地方都市の駅周辺というのは古い建物が多く、当たり前だが新しい建物は予算に合わない。リノベーション工事をすれば、なんとかなるのではないかと思うような物件ですらないのだ。先日断られた物件ありきで店の計画を進めていたので、全くの白紙になり途方に暮れていたところ、別の不動産会社の敏腕女性社員が「ついでですしあの物件も見ますか?建物の3階なので事務所には適していますが店舗としてはどうでしょう」と本人は乗り気ではなかったが、見せてもらうと駅のバスターミナルから横断歩道を渡ってすぐという立地、20坪(60平方メートル)の広さ、家賃もネットに掲載されている額の半分になったという。なんでも、長期間店子がつかず、リノベーション工事をしたがそれでも長期間空いているので思い切って家賃を半額にしたのだそうだ。すごい話だ。これこそがネット時代に検索だけではたどり着けない、不動産会社の存在意義でもあろうし代理人の仕事というものだ。結局家賃の方はリノベーション工事代金が掛かっているので、ということで半額+1万円になったが、それでも掘り出し物の値段だ。
ここしかない。これ以上立地の良い物件を探そうと思ったら、もう駅ビルに入るしか無いが家賃が高いのでそれはできない。早速契約しようと思ったが、またあの問題が出てきた。家賃保証会社を通さなければならないのだ。それは同じ会社だった。申し込んだ。落ちた。そして敏腕女性社員に話を聞いた:
過去7年以内に自己破産しました?もしくは家賃の滞納、住民とのトラブルなど…。そういうものが無ければ、ここまで取り付く島もない対応はされないはずです。まったくの門前払いでした。殆どの場合は保証会社から「追加の保証人をつければ可能です」などサジェスチョンが来るのですが、それすら来ないということは…わかりません。
私はクレジットカードは5枚くらい持っているし、上記のような事もしていない。なので、信用ブラックリストに載っているとは思えない。
となると、原因は以下の2つのうちのどれかだ:
- 会社の本店がシェアオフィスである
- 代表者の住所が遠方である
まず1についてだけど、これはお世話になっているシェアオフィスのオーナー氏によればありえないという。シェアオフィスを本店にしながら店舗を借りている人がいるからだ、という。
となれば2しかない。なので、引っ越した。引っ越したのは契約をしたあとで、結局、不動産会社Bの敏腕女性社員の機転で、彼女がオーナーと直談判、一年分の家賃を前払いすれば保証会社を通さなくても良い、ということになり、ようやく店舗を借りることができた。
信用という実体のないものは、これがあるからこそ社会が回っているのだ、という言い方もできる。なぜ皆は紙切れに1000円とか10000円とかの価値があると思いこんでいるのだろうか?なぜ法務省は紙切れ1枚で人間を死刑にできると信じているのだろうか?法律?人権?国家?神?ンなもん実在しません。皆があると信じているだけで。
しかし信じているからこそあなたは日曜日に教会へ行けば信者のコミュニティが困っているあなたを助けてくれるでしょうし、あなたを殺すと付け狙っている人物から警察があなたを守ってくれるかもしれない。
話がずれた。信用だ。クレジット会社やら、銀行の審査基準というものは非公開だ。公開したら「対策」されてしまうからだ。なので、なぜ私が審査に落ちたのかは聞いても答えてくれない。フェアではないと感じる。
代表者が遠方に住んでいたら、何かそれは詐欺のシグナルなのだろうか?「よそ者には貸さないよ!」ということなのだろうか。ちなみに私は今この文章を、実家のある神奈川県藤沢市から1000kmほど離れた大分県大分市で書いているのだけど、別に地方だからよそ者に厳しいという意味で書いているのではない。当地の創業支援施設の皆さんには本当にお世話になっており感謝している。しかし家賃保証会社は別だ。自治体がいくらUターンだのIターンだのを奨励して起業誘致をしても、プライベートカンパニーが独自の基準でそれを阻んでいるとしたら?それが家賃保証会社という、引っ越しやアパートを借りると謎の金をすべての店子から奪ってくる、クレジット決済時代には特に必要性もない、競争もない、わけのわからない会社なのではないのか?
結論:ジェイリース潰れろ。
皆さんへのアドバイス:信用が必要な契約は、会社員である内に行おう。