タイタン号遭難事件で久しぶりに見たビデオゲーム界のレジェンド、リチャード・ギャリオットと金持ちの後半生について
タイタン号遭難事件のニュースを、固唾をのんで見守ってしまった。最初から乗員の生存は絶望的だと思っていたところに沿岸警備隊がそのようなコメントを出したのが23日(日本時間)の朝のニュースだった。
最近、欧米のニュースメディアは、連続的なニュースが次々と画面に追加されるような仕組みをWebサイトに実装しており、BBCやCNNではたまにBreaking Newsとしてこの仕組みが表示されている。
BBCでタイタン号遭難事件のニュースを追っていると、懐かしい名前が出てきた。リチャード・ギャリオットだ。写真を見ると、相応に年を取っているものの、あの顔、そして首に下げた蛇のアミュレット。間違いない。彼はビデオゲーム界のレジェンド、リチャード・ギャリオットその人だ。今は「冒険家クラブ」というものに所属しているらしい。
ここでリチャード・ギャリオットを知らない人に説明すると、彼はビデオゲーム界で3度の奇跡を起こしたと個人的には思っている。ビデオゲームのジャンルを3つ作った、ということだ。
- Ultima (コンピューターRPGを定義した)
- Ultima Underworld (FPSというジャンルを定義した。Shooterではないけど)
- Ultima Online(MMO RPGというジャンルを定義した)
凄い。この人がいなかったらビデオゲームの現在はどうなっていたのか。ビデオゲーム史にその名が残ることは確実なのだけど、現在はゲーム業界にいるわけではなさそうだ。
おそらく彼は若くして金持ちになってしまい、もうゲームに興味などないのではないか。彼の人生を決定づけたのはビデオゲームではなく、それは彼に富をもたらしもしたが、彼がゲーム制作に入るずっと前、生まれた瞬間に決定づけられたこととして、父親は宇宙飛行士のオーウェン・ギャリオットであって、「眼の前のモニターに映る光の点滅」よりも「宇宙に浮かぶ無限の星々」の方が魅力的であったのは当然だ。実際、彼は2008年にソユーズで宇宙に行っている。
その後の彼をよく知らないが、「探検家クラブ」という金持ちで冒険好きな奴らのクラブにいたようだ。クラブ内で彼は「ちょっとした名士」なのか「アメリカの、世界の英雄」なのかよく知らない。知らないが「生まれたときから親父が超・有名人。自分もビジネスが当たって若い頃から金に困らず、探検家クラブの名誉ある会員」というのはどんな気分なのだろうか?想像もつかない。そのような暇を持て余す金持ちたちが今回の潜水艇に乗ったのだろう。
でもスマホゲーばかり遊んでいる今の若い人は彼を知らないだろう
だから、何と説明しよう。「主人公が<異世界>に呼ばれてあっちで英雄だの聖者だの言われるゲームを作った人。<異世界モノ>の元祖はこの人」と言えばいいのか。非常に下世話な表現になったが、ウルティマって「異世界モノ」でしょう?