ビッグイシューの年間購読を申し込んだ/他人の不安定な善意に頼るより社会や人間を合理性を持つシステムに組み込んでくれ

Hiroki Kaneko
Feb 5, 2022

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Photo by Matt Collamer on Unsplash

ビッグイシューの年間購読に申し込んだ。その理由というのは、収入が安定して1年になろうかというタイミングであったことと、1冊の単価が350円から450円に値上げされても年間購読は値上げしなかったから、という理由でもある。2021年は「第x次コロナ緊急3ヶ月通信販売」というやつを頼んでいた。2020年は、申し訳ないが自分のことに手一杯で、金銭的にそれどころではなかった。

私は思うのだけど、「不安定な生活環境」に置かれた人は、なぜこのような「不安定な善意」に頼らなければならないのだろうか?街でホームレス状態の人を見て、話しかけたり、お金を渡したりする人は、私が見る限り日本の街角では見られない。これが欧米などだと結構あるそうだ。キリスト教やらイスラム教やらの考え方なのだろうか?良いことではあるが、必ず「喜捨」を貰えるとは限らない。

ほら、大金持ちだってすぐに手のひら返す。Amazonのハゲはそもそも金を寄付してやろうなどという気は無い(離婚した元・妻に期待したいところだ)。コイツらの「善意」なぞ、当てにはならないのだ。システム化しろよ。そこに必要なのは「合理性」であり、「善意」などという薄ら寒いセリフなどではない。「生存権」だとかいう「権利」という言葉も私は嫌いだ。誰だって食べ物と寝る場所が必要だし、病気になれば治療を受けたい。それが「権利」か?「権利」とは議論を終わらせるための言葉だ。「私は食べ物も住む場所も必要ありません。病気になったら治療もされずに死にます」このような環境を望む人間がいないのだから、そこに議論の余地はない。「善意」に頼るバカも、「ホームレスは怠け者」だと勘違いしているバカも、お前ら黙れ。どちらも不正解だ。

なぜ死刑制度廃止が最初にヨーロッパで実現したのかというと、エリート達がいきなり廃止したのだそうだ。民衆は「抑止力としての死刑制度」を歓迎していたので、それが廃止されたら犯罪発生率が上がると思っていたが、そうはならなかった。結局、死刑制度は抑止力ではなかったと、死刑制度を廃止してから気づいたのだ。ここで重要なのは「バカな民衆」の意見を聞くという「民主的なプロセス」を踏んでいたのではいつまで経っても死刑制度は廃止できなかっただろう、ということだ。これはエリート主義だとか官僚主義だとか言われることで、それは諸刃の剣だ。人間はどこまでいっても人間なので、失敗するし、勘違いする。
だが「生存への欲求」は全人類、というか全生物が持っているものだから、そこに議論の余地はない。「エリート様の御高説」を待つまでもなければ、猿由来の「フリーライダーへの過罰本能」でバカになっているだけの「ホームレスは怠け者」と言いたいバカ野郎の意見も必要ない。

「ホームレスは怠け者ではない」と、ここまで書いても信じない程度に猿の脳ミソをお持ちの皆様向けに説明すると、「人間を襲う不幸には、それ自体にリスクヘッジをかけられないものが沢山ある」。それだけでしょう?ある日、交通事故に遭って半身不随になったら?大地震と大津波で家を流され家族を失ったら?自分は子供or高齢者であり「市場で交換できるスキル」がなかったら?売れない役者やバンドマンのように「市場では交換価値がないとみなされるスキル」だったら?それより、生まれた時から身体障害or精神障害だったら?こんなもの、リスクヘッジできるかよ。これのどこが「怠け者」なのか?本人が生まれる前、雲の上に住む杖を持った白いひげの老人に対して「私は精神障害者として生まれたいです」と言ったのか?

先週、上の動画を見ていて、ゲストが池袋で炊き出しをしているというので思い出したことがあった。以前、テレビかなにかで見かけたのだけど、ホームレス状態にある人たちの結構な割合に精神疾患があるという日本初の調査だった。

人間は「貧困状態」がデフォルトであり、そこに理由はない。理由を求めるのは「富」の方なのに、ビッグイシューに寄稿なさっている皆様は「貧困」の方に理由を求め、口を揃えて市場経済が悪いだとか言い出す。確かにそうだ。市場に交換するスキルなどを持たない人を市場経済は救えないから、政府でも地方自治体でもない民間の団体が、炊き出しなぞやらなければならないのだ。しかしそこを補うのが公的リスクヘッジの諸制度(生活保護、失業保険、医療保険その他)であり、その源泉はどこから来ているのか忘れているのだろうか?市場経済による経済成長のおかげでしょう。そこを皆さん、揃いも揃って、特に専門家である筈の「経済学者」までもが勘違いしているじゃないか。

結局、問題なのは公的リスクヘッジの諸制度の内容と質であり、これは単なる制度なのでいつでも変更可能だ。そしてそれが変更されるまでは、「善意」に頼った活動が必要だ、というだけなので、別に「市場経済が悪い」みたいな話にはならない。並走させるというかお互いを補いながら活用すればよいだけだ。

ビッグイシューのミッションには共感するものの、そこに書かれた内容はてんで的外れなので、正直言って雑誌なんか不要なので全額それを必要とする人に渡してくれ、と思うが毎月2回、送られてくることになる。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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