ルーターについて私が知っていること
LANむかしばなし
家庭内LANといえば、昔はそんなものは存在しなかった。というのも1980年代はSunワークステーションに付いてくるEthernetカードが数十万円もしたからだ(しかも個人でSunなんて買わない。55万円という激安価格のSunが出て話題になったくらいだ)。それはインターネット紀元前のお話でもあるけど、1990年代後半になるとISDNルーター、NTT-ME MN128SOHOなんかが「常時接続インターネット」のためのルーターとして話題になった頃だ。あ、ちなみにそれまでは電話代と同じ、1分いくらで料金を払っていました。定額なのは夜11以降のテレホマン…。
それから時代はADSLになり、モデムは事業会社から貸与されたレンタル・ルーターだったが、あえて自前で用意したルーターはあの頃何を使っていたっけ…マイクロリサーチ NetGenesis OPT-Rとかだったような。実家なので、家中にEthernetケーブルを這わせて(インターネットの前は電話線だった!)、壁に穴を開けたりとやりたい放題だった。ネットゲームの黎明期だったので、うまく接続できなかった場合はルーターの設定値をいじりまくって、MTU値を下げるんだ、とか、色々やっていた。
このような1990年代後半の話はオタクコミュニティで「インターネット老人会」などと呼ばれているようだが、インターネット紀元前のパソコン通信からネットのサブカルチャーにどっぷり使っていた私は何と呼称されるのだ?
無線LANがすべてを変えた
それから無線LANの時代が来た。オタクどもは「無線LANなんて不安定だし遅いし、やってられないね」と言っていたが私は新しいもの好きなので、家がLANケーブルだらけにならない、これは素晴らしい、と最初に何を買ったっけ…結局AirMacが最初だったのではないか。この辺になって、家庭内LANを色々いじりまわしてやろう、という気は無くなった。めんどくさかったので…。主にMacを使っているのだから、Appleのルーターなら相性問題に悩むこともないし、設定も簡単だろう、と決めて掛かり、事実そうであり、私はネットワークについて考えるのをやめた。
そうこうしているうちにAppleはネットワーク機器事業から撤退し、私は今使っているAirMac Extreme(重箱みたいなやつ。802.11ac 5GHz対応)の次を探さなければならなかった。時代はIPv6になっていた。
Ubiquitiってなんだ
ユビキティ・ネットワークス Ubiquiti Networks、という会社があるようだ。何でも創業者は元Appleで、AirMac Extremeの開発に関わっていたという*1。ああ、AirMacの系譜は今Ubiquitiなんだな、と俄然興味が湧く。それまでも一部のネットワークマニア達の間ではEdgeRouter X などが安くてハッカブル、というので話題だったようだが全く知らず、現在の製品群では更にUniFi Networkというクラウド上で複数拠点の機器を設定でき、そのサービスは無料だというのが、毎年カネをふんだくるCiscoやYamahaに対するアドバンテージであるという。更にハードウェアも安い。とはいえ家庭用よりは高い気がするし、WiFiルーターやネットワークカメラといった機器も基本的に電源はPoEで取る、という事はPoE対応スイッチが必要であり、自宅内無線LANやカメラを含めたトポロジーはこのようになると思われる。
インターネット
| Ethernet
+ — UniFi Security Gateway (ルーター)
| Ethernet
+ — UniFi Mini Switch (PoE対応スイッチ)
| PoE
+ — WiFi AP (無線LAN)
+ — Network Camera (ネットワークカメラ)
+ — UniFi Cloud Key Gen2+ (クラウド制御&録画)
(*1) Appleのハードウェアエンジニアは世界一!という私の偏見ですが、間違っていますか?大体合ってるでしょう。
気になるご予算は
結構な値段だ。しかしこれをYamahaで揃えたら?RTX830 + WLX313だけで既に10万円の筈であり、ネットワークカメラや、それを録画するネットワークビデオレコーダーやらの製品群は存在しないし、ソフトウェアであるYNOは1年ごとに利用料を払う必要がある。ちなみにCiscoは知らないが、もっと高いだろう。
販売代理店があるにはあるが…
これを企業で導入する場合、壊れた場合のサポートがなければ導入はできない。日本では、ソネット株式会社がUniquiti製品を扱っているらしいが、その20年前を思い起こさせるWebサイトを見ても販売価格などは書かれていない。これはどのように買えばいいのか?Amazonで売られている製品は、どこ扱いなのか?メーカー直販だったら?まるで分からない。これでは企業は導入できないだろう。しかし私のような無謀で、カネが無く、しかしネットワーク機器を設定する知識のある人間にとっては、非常に興味深い選択肢であろうと感じた。自分がカフェでも開く時が来たら、まず採用したい。
教訓
設定をいじくりまわしたり、家の壁に穴を開けたりした時間の浪費は、ムダにはならない。これをネットワークエンジニアに作ってもらおうと発注したら、幾らになると思う?私の「青春の浪費」は、ムダではなかった!