不登校者のための人生サバイバル・キット(教養編 1時間目 英語)
あなた、学校へ行ってないの?そうですか。別に行きたくなければ行かなくてもいいですよ。私はあなたの敵ではなく味方ですから、安心してください。
突然ですがあなたの嫌いなテストをします!
何ヶ月、何年学校へ行っていないのか知りませんが、文章の読み書きはできますか?
できる。良かった。
それでは足し算、引き算、掛け算、割り算はできますか?
できる。
おめでとうございます!合格です。あなたは学校に頼らなくても、自ら学ぶことができます。優秀なあなたには、サバイバル・キットを進呈いたします。あなたの人生にきっと役立つ本のことです。
世界一の、自分だけの学校をつくろう
学校へ行かないのなら、自分専用の学校を作ろう。そして自分自身を教育しよう。ここで紹介する本や番組は、つまらない学校の教科書ではない。学校の教科書など、しょうもない三流の研究者が書いた本を、その分野について何も知らない役人が更に酷く書き直して、金儲けしか考えていない出版社が出している、くだらない本だ。どうせ読むなら世界のトップ研究者が書いた本を読もう。世界のトップが書いた本を教科書にしているのだから、あなた専用の学校は、世界一の学校だ。あなたの住んでいるしょうもない町で一番の学校?くだらない。県で一番?日本で一番?くだらない。注目すべきは、世界一だけだ。だいたいあなたは学校が嫌だから学校へ行かなかった。それが周囲からいじめられたのか、学業不振なのか、中二病を拗らせたのか、理由はそれぞれあるだろうけど、人間はそれぞれ顔も違えば体格も性格も違う、興味を持つ分野、性格、能力も違うのに、それを画一的に教育してやろうという学校の方針の方が間違っているんだ。生徒が沢山いるのだから、一人ひとりに合わせたカリキュラムなど組んでいられないという学校側の理由もよく分かるし、生徒全員に知ってもらいたい基礎の学習内容があるのも理解できる。しかしそのマスプロダクション、大量生産品になれなかった生徒はどうする?「不良品」だろうか?馬鹿な!私やあなたは、自分自身を訓練し、教育し、成長できる!
その条件が上記の「テスト」内容であり、あなたはそれに合格したわけだよね?だとしたら、あなたは既に自分自身で学べる力を既に身につけているので、あとは素晴らしい本を読んで自分で勉強しよう。必ずできる。
1時間目 英語
DUO3.0, DUO 3.0 / CD基礎用, DUO 3.0 / CD復習用
上で「世界一の研究者が書いた世界一の本を紹介する」と書いたけど、これは単なる英語学習参考書。いきなり話が違う、と思っているかもしれない。
私があなたに課したテストの「文章の読み書き」とは日本語を前提としていたので、英語は別途、学ばなければならないんだ。なので、「日本語で書かれた英語学習参考書」で一番優れた本を紹介しよう。
これは高校生向け英語学習参考書の定番中の定番。別にあなたが中学生、小学生相当の年齢だったとしても、20歳以上だったとしても構わない。英文法の解説は書かれておらず、単語と熟語を覚えるための本だ。紙の本の他に、基礎用と復習用のCDも買おう。今どきCDプレイヤーを持っている人がどれだけいるか知らないけど、どうにかしてそれをスマホに転送して560フレーズを1年間毎日聞くのが、あなたの勉強だ。
最初は意味を理解できないので苦痛でたまらないし、こんな事をして本当に英語を理解できるようになるのだろうか?と不安になり、最後には「どうせ自分は英語など一生分からないのだ」と途中で投げ出したくなると思う。しかしそこを我慢して聞くことを習慣にできるかどうかが、この勉強の成否を分けるんだ。こんなものは勉強ではない。トレーニングの一種だ。毎日1km走るトレーニングを続けていれば、いつか42kmのフルマラソンも完走できる。いや、もしかしたらこれこそが「勉強」なのかもしれない。勉強とは試験で良い成績を取ることではなく、知らなかった事を知るようになること、できなかった事をできるようになることであり、そのための試行錯誤の過程こそが勉強だと思う。試験はその結果でしかなく、大勢の生徒の理解度を数字で確認できれば先生にとって楽だろう、という合理的だがつまらない考えに基づく習慣にすぎない。世界一であるあなたの学校には、試験も成績も存在しない!あるのは勉強の過程のみなんだ。これこそが勉強だと思うよ。
とにかく寸暇を惜しんで、もう嫌だ、どうせ自分には分からないんだ、という自己嫌悪と戦いながら毎日聞くと、少しずつ意味を理解できるようになる。だからいつも持ち歩いているスマートフォンに音声を転送しよう。そして全てのフレーズをなんとなく暗唱できるようになった時、晴れて他の学習参考書に進めばいい。進まなくても、上位大学(ってどこだ?知らないけど)受験レベルくらいの英語は(文法以外)扱えるようになっているはず。
音声CDのフレーズを聞いて意味を理解できるようになると、聞くことが苦痛ではなくなるんだ。それでは最初の苦痛の期間をどのようにやり過ごすか?基礎用CDは英語のフレーズの後に日本語訳が流れるのだけど、これにより「意味を理解できない→どうせ勉強したって身につかない」という苦痛は軽減されるようになっているんだ。
英語も日本語も、同時に覚えてしまおう。そして英語と対訳を両方覚えたら、次は復習用CDで英語だけで聞こう。復習用CD付属の豆本も常に持ち歩こう。これを見ずに英語フレーズを聞いただけで日本語対訳を思い出せれば、あなたは560フレーズを理解したことになる。これは頭の良し悪しではなく、反復による刷り込みだ。あなたが1つでも歌を覚えているのなら、あなたは脳の機能障害ではない筈で、それなら必ず覚えられる。
次の段階は、外国語の意味を頭の中で逐次翻訳せず、外国語を外国語のまま理解できるようになる。英英辞典を読むような感覚だ。頭の中の配線が変わっていく感じがする。私が到達したのはその入口に過ぎないけど、今まで何のことやら理解できなかった英語の歌詞が、何を言っているのか何となく分かるようになるんだ。
先日、洋服屋へ行った時に店内はなぜだか’80年代ポップスが流れており、私が子供の頃映画館で見た「ゴーストバスターズ」が流れていたのだけど、当時、映画館で聞いたあの歌の意味は全くわからなかったのだけど、今聞くと歌詞の意味が分かり「そういう意味だったのか!」と、洋服屋で私は一人興奮する経験をした。あの英語の歌詞を、私は以下のように理解した:
もし君の近所で何かおかしな事があったら
誰を呼ぶ?(ゴーストバスターズ!)もし何か奇妙なことがあったら
誰を呼ぶ?(ゴーストバスターズ!)お化けなんか怖くないぞ
お化けなんか怖くないぞ
これが「勉強」の「成果」だ。試験の成績ではないんだ。
この頭の中の配線が全て置き換わった人間のことを、バイリンガルと言うのだろう。
今どき日本語の情報ソースしか読めない、日本語話者としか話せないのであっては、あなたの人生の可能性がスポイルされる。具体的に言うと、収入に直結するんだ。もっと言うと、貧乏で生活に不自由してしまう。
以前、バンコクの英語学校の前を通りかかった時に「あなたのより良い未来のために英語を勉強しよう」と書いてあった。英語はLet’s study English for your better futureだったかな。日本語で覚えているから原文は違うかもしれない。ともかく、better future(より良い未来)とは将来の収入増、という意味だろう。もしあなたがタイ人ホテル従業員であり、タイ語しか話せなかった時、英語も話せる同僚と給料が同じだと思うかな?人員削減の時、どちらが解雇されると思う?これが日本にある英語学校だと「英語で初夢を見よう」だとか、曖昧で具体性のない言葉ばかりが散見されるのだけど、そんな曖昧なものが「動機づけ(motivation)」になる筈がないよね。
この本とCDを買うための合計5千円、安くはないけど、あなたのより良い未来のためにここは投資してみよう。何十年後に、リターンは数百倍、数千倍になっているはずだ。
これから紹介する本は高いので、図書館で借りるのが良いと思うけど、DUO3.0は買ってしまおう。なぜなら、これからあなたはこの本が手垢にまみれるまで繰り返し開かなければならないから。20年ちかく前に出版された本なので、古本屋にも沢山あるだろう。数百円程度で手に入れることも可能だと思う。
私の知っているアメリカ在住日本人の夫はチリ系アメリカ人なのだけど、彼の父親の母語はスペイン語であり、英語もよく分からないままアメリカへ来て、その後もずっと英語の鍛錬を続けているそうだ。リビングのコーヒーテーブルの上に英語辞書を置き、テレビで知らない英単語が登場したらすぐに辞書を引く、という学習を続けている。これがトレーニング、これが勉強なんだと気付かされる。
毎日少しでも、自己嫌悪と戦おう。そしてより良い未来を手に入れよう。「より良い未来」は、学校によってのみもたらされるものではないからだ。
他人と比較して、自分の偏差値がどうだ、などと戦う必要は無いが、自分への自己嫌悪とは戦って成長しなければならないんだ。