ショッピングモールは人工の楽園、”人間が造った遊びは底が浅い。だから私は釣りが好きなんだ”

Hiroki Kaneko
4 min readFeb 23, 2020

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南町田駅

クランベリーがグランベリーになっていた

南町田というのは辺鄙なところで、中央林間から東急線で渋谷へ一本で行けるからか開発が進んでおり、確か私は南町田の、当時クランベリーモールと言われていたショッピングモール近くのペットショップで肺魚(プロトプテルス・アンフィビウス)を買った記憶がある。2005年頃の事だ。その肺魚はまだ生きているが、2年ほど前から調子が悪く、転覆病という原因不明の病で以来、ひっくり返ったままだ。2年間ひっくり返り、もとに戻ったすきに餌を与えるとまたひっくり返る。これでまだ生きているというのが凄い。

肺魚のクロちゃん(2006年頃撮影)

そんなクランベリーモールだったが、今回行ってみたらランベリーパークという名前になっており、記憶の中の南町田駅というのは既に忘れてしまったけど、当時とは全く違うであろう、何かテーマパークのような駅舎になっていた。駅から直結したショッピングモールは3連休中ということもあって大勢の人で賑い、なぜだか知らないがああいうところに必ず「犬を散歩している客」が沢山いるのだけど、犬を連れては店内にも入れないだろうに、何をしているのだろうか?

私の用事はといえば、GAP OUTLET店へ行って36インチ以上のパンツを見つける事だけだ。GAPの日本法人というのは全くおかしなところで、通常のGAP店舗では男性用パンツは36インチまでしか販売しておらず、ネット通販でも同様だがOUTLET店だけが38インチまで取り扱っているのだ*1。

*1 ユニクロもXXL以上は通販のみだ。そんなにXXLサイズが店の場所ふさぎなのか?同じようなサイズばかり大量に置いているくせに。

しかしまあ、屋外型ショッピングモールというのは「何もない田舎に人工の楽園がここに完成し、カネさえあればショッピングにグルメ天国」という、何から何まで人工物だらけの楽園なのだけど、こんなの数十年も経てば寂れた、地元で言えば横浜ドリームランドのようになるのは確定路線なのに、なぜ作るのかね?(というかGAP通常店で38インチのパンツを取り扱えば行く必要もないんだ)戦後の住宅不足を補うために宅地造成された多摩ニュータウンだとか、大阪なら千里ニュータウンが50年後の今や老人の街となってしまったように、街づくりというのは何かマスタープランでやるようなものではないように思う。おおかたクランベリーだかグランベリーだかも、東急の、映画「釣りバカ日誌」のスーさんの土建屋のようなところがオッサンのセンスで作ったのだろう。作る前に多摩と千里を見たのかね?

釣りバカ組み込みエンジニアおじさんの思い出

やはり2005年頃だと記憶しているが、当時私は駆け出しの役立たず給料泥棒ITエンジニア見習いであり、中堅SIerの人売りビジネスに乗っかって一山いくらで川崎方面の某大メーカーに売られていた時のこと。同じSIer経由で働きに来ていたそのおじさんは、周囲の大部分が20歳台であったのにおじさんだけ50手前の年齢で目立っており、風貌は小柄で年中日焼けした肉体労働者風ではあるけど、キャリア的には横浜は鴨居方面の別の大メーカーのプロパー社員で組み込みソフトウェア・エンジニアをしていた。しかしわけあって退職しており、SIerのそのまた下請けの協力会社に転職し、給料はだいぶ下がったが今のほうがストレスが無いと語る、先輩エンジニアだった。

そのおじさんは釣りが大好きだった。週末になると朝も暗いうちから車で海へ行って釣りをしているから年中日焼けをしていたのだった。そんなおじさんがある時ぼそっと「人間が造った遊びは底が浅い。だから私は釣りが好きなんだ」というような意味のことを言っていたのを思い出す。私はこれが何か人生の年輪を重ねた、薀蓄のある台詞だなあと心に残ったのだけど、ショッピングモールへ行くたびにあのおじさんの言葉を思い出してしまうのだ。皆、底の浅い遊びに満足しているのだろうか?

そういった次第で、グランベリーパークで私は買うものは特に無かった。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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