人種差別ではなく多様性の勝利の証なのでは?

Hiroki Kaneko
6 min readJul 20, 2019

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どうもブログというと、私はひとつのテーマについて良い文章を書かなければ、と気張ってしまって書くことを躊躇してしまいがちだ。しかし素人の私にとってこれはメモ帳でもあろうし、Twitterの代わりでもあるので、雑多な思いつきを書き留めていこうと思った。

ショボい事しか言えない事こそ勝利

アメリカ人が「もとの国に帰れ」と言ったらアメリカ先住民以外は帰れよな、という事になりトランプもドイツへ帰らなければならないし、アフリカ以外に住むサピエンス全員は「アフリカへ帰れ」となるだろう。今後、火星に生命の痕跡が発見され、その生命の種が彗星だかに乗って地球へ到来した事が分かったのだとしたら地球人は全員「火星へ帰れ」となるだろう。そして火星へ帰っても、今の日系ブラジル人4世5世が日本で受けているような仕打ちを、タコのような火星人から受けるだろう。

しかし、ほとんどが移民の子孫であるアメリカ人が言う「国へ帰れ」はあまりにブーメランになってしまって、今更誰も突っ込まないのか?
これが人種差別かどうかはよくわからない。よくわからないが、もしトランプが、女性議員たちの言う人種差別主義者だったとしたら、この2019年において「国へ帰れ」といったショボい罵倒しかできなくなってしまったという状況に皆は喜ばなければならないのではないか。だって、これが半世紀以上前のアメリカだったら「白人以外の選挙権を剥奪しろ!リンゴの木の枝に高く吊るし上げろ!十字軍を編成して、異教徒と非白人は皆殺しだ!」と白装束の奴らは言っていただろうけど、今や人種差別主義者はこのような事は言わないのではなく言えなくなってしまった。トランプが「国へ帰れ」と言った日、それは社会の平等と多様性の勝利の証であり、今日はパーティーじゃないのか?

そうだ。トランプの言う(不法)移民排斥というのは、現代アメリカの極右イデオロギーが、「家を焼き討ち」だとか「断種」だとか「奇妙な果実」だとか「日系移民強制収容所を再びアメリカに作れ!」だとか「サイクロンB毒ガスで殺せ!」とは社会通念的に言えなくなってしまった時代に、自分の脳内にプレインストールして出荷された自集団贔屓モジュールに納得していただく為の精一杯のエクスキューズではないのか?私はアメリカに住んだことがないので国内状況についてあれこれ言うことは出来ないが、件の民主党女性議員の皆様におかれましては「トランプは人種差別主義者だ」などとすぐにレッテル貼りをして「私たち」と「彼ら」を区別して社会を分断し、無駄な時間を過ごすよりも、平等と多様性が勝利した事を記念するパーティーでもした方が余程、アメリカ流のウィットに富んだ、余裕あるやり返し方なのでは?そのくらいの余裕とウィットを兼ね備えた時にこそ、彼女たちは胸を張って「私達はアメリカ人だ」と言えるのではないだろうか。

16日には、「あのツイートは人種差別じゃない。自分の体には人種差別的な骨など1本もない! 議会が取り上げる予定の採決とやらは、民主党の詐欺だ。共和党議員は『弱み』を見せて、向こうのわなにひっかかったらだめだ。それより、あの民主党下院議員たちの汚い言葉遣いや発言やうそについて、採決すべきだ。あの連中は、その行動から僕は確信しているが、我々のこの国を憎んでいる」などとツイートした。
上記BBC記事より

トランプは人種差別主義者ではないと思うよ。ただもうジジイなので世界観が古いね。あの発言は、半世紀前のアメリカの社会状況ではセーフだったが2019年ではアウトなようだ。

美しい国バンザイ

ともあれ、私はこの手の田舎の田吾作野郎のような言説は大嫌いで、「まずお前が帰れ」と思う。そして我が「美しい国」の状況はどうか:

エラソーな顔して日本批判 文句ばっかタラタラゴキブリ外人
僕の国ではこうなんだけど そんなに嫌ならとっとと帰れよ
そんな戯言有難がって うんうんうなずくゴミ司会者
一度でいいから見せてよ根性 日本得意の島国根性

生ゴミOH2
歌:電気グルーヴ
作詞:石野卓球

この歌が1990年代初頭ぐらい。電気グルーヴといえば、しばらく見ない間に砂原は脱退し、瀧は麻薬で逮捕されていたのですがそれはどうでも良くて私はこの歌のこの部分が大嫌いで、当時から「じゃあテメエもとっとと清水市へ帰って実家の石野組(卓球の実家で土建屋)を継げよクソが」と思っていました。「エラソー」かどうかは知らんが、状況を改善するアイディアを第三者が言った時は、それが上から目線ならイラッとしますが、別に「とっとと帰れよ」というような事ではないし、外部、第三者からのアドバイスに耳を貸さないのだとしたらだからお前はサルのままなんだよ。ほら、耳に痛いアドバイスをするとすぐに「反日」とか言い出すサルどもがいるでしょう。改善案を出すことがなぜ「反日」なのか私には全くわからないが、彼らの中では完璧に論理的な答えなのだろう。

話を石野卓球に戻せば彼はこの頃、新アルバムのレコーディングの為にイギリスのマンチェスターへ行ったはずですが、機械音の録音なんて世界中どこのスタジオへ行っても音なんか同じなのに「ここは歴史あるレコーディングスタジオだ」なんて「戯言有難がって」、地元の教育程度の低いイギリス人から見たら卓球だって碌に英語も話せない「ゴキブリ外人」ではないのか?

この作詞からほぼ30年が経つが、その間、我が「美しい国」のオーディナリーピープルのメンタリティーに変化はあったのか?オリンピックとか、まだ途上国みたいな事言ってるぞ。

自集団贔屓モジュールに共通する挙動:外部集団を人間と見なさない。あっ!私も馬鹿の事をサルとか書いてるぞ!

アメリカ大統領と石野組の長男とでは周囲に与える影響力が違いすぎるとは思いますが脳ミソの程度は同じだ。しかし自集団贔屓というのは人間の脳にプレインストールされて出荷されている困った機能の一部であり、全人類が持っている、脳内モジュールだかネットワークだかでもあろう。なので、自集団贔屓の偏見を減らすには、人類の多様性などというものは思っているほど存在しないという事実の座学と、ケーススタディを積み重ねていくしかないのでは、と思っている。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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