他の記事へのコメント2:自己申告のインクのシミが違法だというたわごと

Hiroki Kaneko
Sep 13, 2024

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以下はあの記事への私のコメントです:

よく調べましたね。日本在住者として感心するところもありますが、少し違うと思うところもありました。
* いわゆる”ロリコンブーム”とやらが1984年に終わったという話は聞いたことがありません。1984年に何がありましたか?吾妻ひでおが同人誌活動を停止して商業誌に戻った、ということでしょうか?
* 吾妻ひでおはすでに亡くなっていますが、彼がロリコンであるというわけではありません。彼は結婚していますし、絵の仕事をしている彼の娘のTwitter(X)アカウントは検索すればすぐに見つかるでしょう(そして彼女は父親のことをとても尊敬しています)。
* 彼らの同人誌活動による表現は、彼ら自身の言葉で言えば「私たちは”絵というインクのしみに欲情する変質者”である」という自虐的な表現だったと私は思います。あるいは単に、商業誌では載せられない内容の漫画を描きたかっただけかもしれません。なぜそのようなことができたのかというと、当時の日本ではロリコンという存在が知られておらず、西洋のように「唾棄すべき存在」であるという社会的なレッテルもなかったからです。せいぜい「変態」という言葉の範囲に収まっていました。
* 日本はキリスト教の価値観が社会の基層になっていない、世界でも珍しい地域です。日本人は「この宇宙を創造した神は、どういうわけか小さな惑星の片隅に住む猿の一種がどのような性生活をおくるのかについて、とても心配している」というたわごとのフィクションは信じていません(別のたわごとを信じています)。
* 大抵の日本人は上に書いた、キリスト教の道徳基盤を持っていないという文脈が欠けているように思います。
* 絵について「これは10歳」「これは1000歳」「これは女の子のように見えるけど男の子」と区分けすることはまったくのナンセンスであると思いませんか?単なる絵というフィクションの人物が何歳であるか、というのは完全にアーティストの自己申告です。絵なら何とでも表現することができますし、それこそがフィクションだからです。
* 何が健全であり、何が健全ではないかという道徳を社会あるいは為政者が恣意的な基準で策定するのは気が滅入ります。
戦前にナチス・ドイツがエドヴァルド・ムンクらの絵を「退廃芸術」であると認定して芸術界から追放した理由は何でしょうか?彼らはそれが「不健全である」と思ったからです。ナチス・ドイツは「健全帝国」であるとあなたが思うなら、ロリコン絵にも法的規制をかけるべきだと主張してもよいでしょう。
* なぜ絵というインクのしみ、あるいはピクセルの集合ごときに目くじらを立てるのか、意味がわかりません。「現実と虚構の区別がつかない人がいるから危険である」と言いたいのなら、神だの天国だの地獄だのという「フィクション」を説いて、そのために他人を殺す人はどうなんですか?

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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