会社始めました。特にツテとかはありません。
きっかけ
AppleがiPhoneパーツを正規サービスプロバイダ(AASP)以外の独立系修理店にも供給すると発表したのが2019年の8月末。その24時間後、私はHacker News経由でそれを知った。プレスリリースには「このプログラムは米国で開始され、他の国にも拡大する計画があります」とあるが日本ではいつから始まるのかは不明。
Appleはたいていの場合、新しいことを始めるときはいきなり「始める」と言い出すので予測することなど元から不可能、だけどいつになるかわからないものを待っていても仕方がないので見切り発車することにした。
唯一の懸念点は、このプログラムに対しておそらくAppleは乗り気ではなく、先日カリフォルニア州で施行された「修理する権利に関する法律」の成立を、ロビイストを使ってさんざん妨害してきた癖に今更掌返して何言ってるんだか。
しかもこの「純正パーツの供給」はアメリカの国内法、州法がきっかけで始まったことであり、そのような法律が存在しない米国外で急ぐ必要など無いのには少し気になるところだ。
最初は互換パーツのみを扱い、後で純正パーツが手に入るようになったら、修理の時には純正か、互換かを消費者が選べるようにしたい。
つまりサラリーマンを辞めて、街の修理工場のおじさんになれたらいいなあと。「街の修理工場」というと昔は自動車修理工場が一般的だったけど、時代の流れでそれがスマートフォンになったのだ。
もし消費者がクルマのディーラーで新車を買い、5年の保証を付けて乗り、5年後に修理費が自腹になってからも同じクルマに乗りたいと思ったら修理費を抑えるためにメンテナンスはディーラーではなく、街の修理工場へ持っていくかもしれない。その時、交換するパーツはメーカー純正指定品にするか、互換品にするかはオーナーが選択するはずだ。ディーラーへ持っていくか？それとも街の修理工場か？パーツは純正指定品か？安価な互換品か？これは消費者に選択する権利がある。それがなぜ、クルマでは出来てスマホでは出来なかったのか？
この商売は今後、衰退するだろうか。考えられるシナリオとしては：
- 絶対に割れないガラスが開発される
→無理でしょう - 自動でディスプレイ交換を行う機械が開発される
→新機種が毎年発売されるのに、機械がそれに対応するのは不可能 - スマホは一部でも壊れたら修理不可能、全て新品交換扱いになる
→かつてなく環境問題が議論されている今の時代にそんな設計にしたら袋叩きに遭うだろう - 新規参入者が増え、客の取り合いになり共倒れ
→これが一番可能性が高い…街の美容室みたいだ
そういう次第で、経験が必要な、細かな作業なのでそれができれば「手に職をつける」と呼ぶにふさわしいし、人の役に立つし、地道で堅実な仕事といった感じで、いいんじゃないか？独立系スマートフォン修理業。
退職と退職金と失業保険
昨年末で、16年間お世話になった会社を退職した。花束など頂いた。そして年が明けて2020年、私は天下晴れて無職（16年ぶり2度め）となった。
- 失業保険
ここで毎月給料から引かれ続けてきた雇用保険を失業保険という形で受け取りたかったのだけど、あれはサラリーマンとして転職するまでのつなぎ資金であり、開業する人にはくれないのだそう。なぜだ。しかし開業までの時期を伸ばせば、休職期間中に開業した、という事になり、全額の6割程度の「開業祝い金」が出るそうだ。私はそれまで待てなかったので、結局受け取れなかった。職業安定所（ハローワークという呼び方は偽善だと思う）のエントリーシートをチビた鉛筆で書き、「PC操作、オフィスソフトの操作ができる」の欄には「ソフトウェア開発をしていたのでそういうのはできると思います」と書いた。だがカネの為に16年間、嫌いで仕方がなかったWindowsやらのマイクロソフト製品を使ってきたのだから、もういい加減いいだろう。1992年から愛用しているMacが使える仕事がいいな、と思い続けていたらパソコンの時代も終わってしまい、もはやどうでもいい。
- 退職金
中小企業退職金共済制度により、会社が10年ちかく掛け続けてくれたおかげでまとまった額のお金が振り込まれた。しかしこれは生活費に消えていくだけだ。自分で申し込むと、3週間くらいで指定の口座にお金が振り込まれる。
- 最後の給与
退職後の今月末に昨年12月分の給与が振り込まれる予定。ちょっとうれしい。別に得なんかしていないのだけど。
保険と年金の切り替え
すべて市役所で手続きが済んだ。
- 国民健康保険
国民健康保険に加入し、両親の下に入ったので年金生活者である両親の保険料が跳ね上がる恐れがあり、年度末までに抜けたいところだ。
- 国民年金
口座振替の、いちばん得する方法に切り替えた。これも市役所でその旨を伝えると、銀行振替のための用紙をくれる。
- 市県民税
去年の年収を元に額が決まるので、第4四半期だけでも、ちょっとびっくりするくらいの額を支払う羽目になった。無職者にこんなに払わせるなよ。
会社設立
上記のように、質問に答えるだけで必要書類が揃う便利なサービスもあり、今どきは会社設立は1人でできるようだ。しかし私の場合は少し事情が異なり、地方で起業したかったので郵送で書類を送り、またそれが間違っていた場合に郵送でやり取りをするのが面倒そうだったので、お金を払って近くの司法書士事務所にお願いした。
地元で起業される方は、会社設立freeeを使えば、自分だけで手続きが済み、司法書士に支払う結構なお金を節約できるでしょう。だって、司法書士がする仕事といえば書類を書いて法務局に郵送するだけなのだから。
フリーの思い出
会社設立freeeは途中まで使い、会社用の印鑑を注文しただけだった。フリー株式会社に関しては、去年、採用担当者から「会社に遊びに来ませんか？」と言われ、五反田にある本社まで行き、そのドチャクソオシャレなオフィスにビビりながら会社説明などを受け、面接に進みますか？と言われたので首肯したら面接で「こういうのはお見合いみたいなもので…」と言われあっさり落とされた。そっちが呼んでおいて何だよと思わないでもないが私のキャリアに「Railsエンジニア」とは書いていないので当然だろう。だって私、職務経歴書だけ見たらただのオンプレJavaおじさんじゃないか。今更Railsもなあ、とJava Guyに言われたくもないだろうが、これもなにかの縁、スカウトされ会社にお呼ばれした事は光栄なので、会計フリーと人事労務フリーを使うことにした。そしてフリーの税理士検索経由で、税理士さんにも連絡した。
でも、もし私がフリーで採用されたとしたら？毎年の法律変更や、不具合対応にrailsのモデルクラスのデバッグとテストをひたすらしてるの？railsプラグインの流行に右往左往するの？気色悪い日本のrubyコミュニティの動向をウォッチし続けるの？*1 12月になったらアドベントカレンダーとかいうくだらない宗教行事に強制参加させられて「この記事は○○アドベントカレンダーX日目の記事です」とかいう頭の悪い日本語を書くの？それもなあ、ときめかないなあ。やっぱり落としてくれてありがとう。サービスは今後、便利に使いますので開発頑張ってください。市場の会計サービスの中でいちばんイケてると思いますよ、フリー。あとは時間を掛けて画面のBootstrap臭さを消していただければ。
*1 その99%はrails以降にrubyを知った、つまらない「標準的な地球人類」ばかりだというのに。こちとら前世紀から使ってたっつうの。そんなrubyとの付き合いは長い（1999年頃、ver.1.4のBeOS版が最初に触ったruby）癖に縁だけは無かった私が、同じ会社の若手君が今参加しているプロジェクトがrails案件だと聞くと、うーん、キーボードよりスマホのフリック入力のほうが速い彼よりも私のほうが詳しいと思うけど、と思わないでもない。本当にご縁が無かったのだなあと思う。もし私が10年前に会社をやめていれば今頃Railsエンジニアになっていたのかもしれないけど、今や時代はBaaSで設計する時代なので、いまさらRailsでもねえな、とも思う。しかし「ハッカーと画家」に影響された私は、プログラミング言語のパワーについて、いくらPythonが流行ろうともRubyの方がLispにより近いぶんだけパワフルである、という思いが消えずにいる
懺悔
会社設立freeeは以前、遊びのつもりでフォームに入力していて、ここ10年の社名の流行りであった「カタカナ4文字社名*2」を付けてしまう想像力の貧困な奴らへの皮肉のつもりで「株式会社キメセク」とか「株式会社ヤリモク」と書いて途中で放置しておいたら、後日担当者から「株式会社キメセク 金子様」というメールが来て慌てて消しました。ごめんなさい。
- 2 freeeも、”Gooooogle”のように「伸ばせば良い」というもっと古い時代に流行ったネーミングですね。
