商店街共通クーポン券は世界を変えない:THE BIG ISSUE JAPAN366号

Hiroki Kaneko
5 min readSep 3, 2019

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THE BIG ISSUE JAPAN366号 創刊16周年記念特集 プラスチック革命

浜矩子の新ストリート・エコノミクス ―― 通貨の善悪は人間次第

ある現象に関する新聞社説に対する感想。何だそれは。解説する。

ある人々曰く「法定通貨は信用ならないから給料はビットコインで払え」

新聞社説「価値が激しく上下する暗号通貨で給料をもらうリスクの方が高いのでは?封建領主は敷地内でしか通用しない地域通貨で使用人の給料を支払って囲い込みをしたことを想像させる」

コラムニスト「地域内通貨の運用の善悪を決めるのは人間次第だ。今こそ善の地域内通貨を支え合いで復活させよう」

私「何だこれ?これを書いたのは大学院教授とあるが…」

えー…皆さん混乱したでしょうから、これから只今の競技についてご説明いたします。
ある人々は「法定通貨より暗号通貨の方が信用に足る」という主張らしいのですが、暗号通貨は別に、ナショナルバンクの地下に眠る金塊と兌換できるわけでもなければ、国がその価値を保証しているわけでもなく、人々が「価値がある」と思っているから値段が付いているだけ、明日にも皆が「ビットコインには価値がない」と思えばその価値は0になる、極めて危ういものだという認識が欠けています。こういう考えなしの奴らが2年ほど前に全財産をビットコインにぶっ込んで破産したわけです。
次に英フィナンシャル・タイムズ紙社説。なぜ暗号通貨と封建時代の地域内通貨を関連付けるのか全く理解できません。確かにビットコイン支払いに対応している店の数は少ないのです。ここまで聞くと地域内通貨のようなものですが、しかしビットコイン交換所を通じていつでも法定通貨に交換できるので、この例えはおかしい。論説委員も「暗号通貨は何の後ろ盾もない虚構である」と書けば良い。
最後に「誕生ガチャ」で金持ちインテリの家で生まれたおかげで三菱総研ロンドン駐在員を経て大学院教授をなさっている偉いセンセイのありがたいお話ですが、経済学者であるセンセイは「地域共同体が地域通貨を持てばいい」と思われているらしい。ちなみに「学者」は尊称であるので自称するな。
センセイは「法定通貨が足りなかったら地域内通貨を刷って流通させろ。そして集団的熱意に基づく独自通貨なら蹂躙はもたらさない」というクズの中卒である私には全く理解できない主張。あのー、センセイ、今までの歴史の中で「良い通貨」などというものは存在したのでしょうか?通貨はそれ自体、見知らぬ人間同士を最も効率よく協業させるための人類の大発明であり、そこに「性善も性悪も無い」と仰っているくせに、それが「出自が善意によって作られた通貨なら問題はない」というのは、あまりにもウブな考えではないでしょうか。それに、法定通貨が足りないからといって調子に乗って地域内通貨をバンバン刷りまくったら価値は暴落するでしょう。そのへんのマネーサプライを、どこぞの商店会連合会だとか、そういった「地域内経済圏」の人々が、ナショナルバンクと国の経済担当者よりも上手にできるのでしょうか?センセイの膨大な知識に基づく考えは、私のような無学な中年には全く理解できません。あと、商店街でしか使えないクーポン券など私は欲しくありません。

数年前に、スタートアップ企業が「地域内通貨を暗号通貨で作る」みたいなプロジェクトを腐るほど作っていましたが、その後どうなりました?やはり腐ったと思います。通貨の価値は、それが汎用性があるところなのに、それをスポイルしたようなものを皆は欲しがるでしょうか?

ビットコインに関して言えば、流通量の上限がアルゴリズムで決まっており、未来の「通貨危機」が起きた時に「中央銀行」のようなものも存在せず、更にマネーサプライも変えられない、総量も増やせないとなったら、デフレを修正できないまま、ビットコインの価値はどうなる?そんなしょうもない設計を、西欧の中二病であるリバタリアンが「国家の介入を受けない自由な金だ!」と持ち上げ、それを投機の手段として持ち上げまくったのがこのビッグイシューのサポーターであるイケダハヤトだ。そして我が同業者であるソフトウェア・エンジニアも「ブロックチェーン技術がすべてを変える」と囃し立てたので同罪だ。ブロックチェーンなんてただの双方向リンクリスト、コンピューター科学の1年生が習う、データ構造の初歩の初歩だ。Facebookが独自の暗号通貨Libraを発表したが、そのメリットといえば「海外送金の手数料が安い」だけであり、その手数料の安さは暗号通貨という単なるデータ交換のコストの安さに負っており、通貨偽造、盗難、そういったリスクに対処するためにブロックチェーンを応用している。どう?これ、暗号通貨の初期のアイディアから一歩も外に出ていないように見えるけど、これでもまだ「ブロックチェーンがすべてを変える」などという寝言を言いたいの?

原発ウォッチ!―― 定期検査の間隔延長、検査は事業者任せ

「新たな事故を待つのか?!」とあるが、「地球温暖化による海面上昇を待つのか?!」と言いたくなる。左派の原発恐怖症はチェルノブイリの頃から何も進歩なし。スリーマイルと福島では誰も死ななかかった。
地球温暖化問題が退っ引きならない状態になってきた今こそ脱炭素発電=原発なのですが、「反対反対と言っているけど、じゃあどうするの?」という疑問には全く答えていない所が頭悪い。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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