宝くじと素人の作曲
年末ジャンボ宝くじを買った
2年前、生まれてはじめて宝くじというものを買った。年末ジャンボ宝くじを10枚。そして母にプレゼントし、結果は300円だけ当たったのだから9割損した。それなのに2年後のきのう、また10枚購入して、母に「10億円あげる」と言ってそれらをプレゼントした。
ネット上で皮肉しか言わない小者どもが、宝くじのことを「貧者の税金」と呼んでいるらしいが、私はそのような事は思わない。少なくとも今は。しかし今まで宝くじを買ってこなかったのは、自分がそんなものに当たる確率はほぼゼロだと思っていたからだ。だから、私は未だに、宝くじ売り場に並ぶのが恥ずかしい。なぜか恥ずかしいんだ。それは私の頭の中で、宝くじを馬鹿にしていたからにほかならない。私もそのような「小者ども」の一人だった、ということだ。
私が子供の頃は、年末ジャンボ宝くじといえば発売初日に、銀座の大きな販売所に長蛇の列ができているのを毎年テレビで見ていて、「紅白歌合戦」と同じく年末の風物詩のようになっていた。
しかし昨日、私が駅前の宝くじ売り場に行ったとき、私の前に並ぶ人は子連れの男性1名だけだった。こんなものか、と思った。時代が変わったのだな、と。
時代が変わり、大勢は宝くじを買わなくなり、私は買うようになった。
当たるわけない。これはまったく、金の無駄だ。しかし、無駄遣いしたっていいじゃないか。そのような気分になれただけでも、私は宝くじを買ってよかったと思う。今年は仕事仕事で、無駄遣いなどとんでもない!と、自分自身を縛り付けていたからだ。だから、そのような心境になれたことが自分にとっての娯楽であり、気分転換になった。
聴いているこっちが赤面する素人の作曲
Amazon Musicでゲーム音楽を聴いていると、お薦めに「東方ナントカカントカ」というアルバムが沢山出てくる。Googleで「東方」と入力しても「東方神起」という韓国のアイドルグループばかり出てくるのでこれ以上調べる気はないが、何となく知っている。2000年代に流行った、同人ゲームだ。シューティングゲームをこよなく愛している私にとっても、その中のいちジャンルである「弾幕シューティングゲーム」というのは全く理解できないものであり、ある記者が弾幕シューティングのことを「動く壁の中から一瞬で生存の道を見つけるゲーム」と表現したことがあった。
私がシューティングゲームに求めるものは破壊の快感であり、弾を避けることではないので、なんとなくその方面を敵視していた。
シューティングゲームのくせに、どうでもいい物語やら、キャラクターというものがあり(ゲームにそんなものが必要だろうか?)それはだいたいナイトキャップを被った奴とか、変形巫女服とか、お世辞にもセンスが良いとは言えないものばかりで、なぜこんなものに人気があるのか理解できなかった。だいたい今現在、30歳以上の人間が10年以上前にハマったものだろうから、私とは世代が違う。
あのゲーム、ゲーム自体も絵も音楽も、すべて一人で作ったと聞いたことがある。だとすれば、あの下手な絵も許せるだろうか。ゲームは知らん。音楽は…Amazon Musicで聞いてください。
私は四重奏というか、室内楽というか、ピアノとバイオリンの協奏曲が好きなので、これらのアルバムを聴いていたのだけど、メロディだけが、どうしても素人臭くて、聴いているこっちが赤面してくるのだ。
私だって作曲理論やら、論理面のことは全く知らない。知らないが、素人が適当に作った曲というのはすぐにわかる。「次に来てほしい音がなくてあれ?と転びそうになる思いがする」からだ。そしてメロディ自体も、その素人臭い構成であり<今まで聴いてきたフレーズを繋ぎ合わせてでっち上げた「曲っぽいもの」>にしか聞こえない。
私という音楽素人を、ピアノの前に座らせて、他人が「何か即興で弾いてみろ」と命令されたら、私だってこんな曲を弾くだろう。それは「どこかで聴いたようなフレーズをあわせただけの曲っぽいもの」でしかない。本職の作曲家が聴いたら、鼻で笑われるような、曲にすらなっていない、フレーズのコピー&ペーストだ。
演奏している人たちは上手だと思う。たぶん、音楽について専門のトレーニングを積んだ人たちだと思われる。そのような音楽の専門家が、こんな素人臭い曲を演奏して、どう思っているのだろう?
リズムやフレーズや展開がおかしい音楽を聴いていると、私の頭の中は、まるで吉本新喜劇のように「コケてしまう」のだけど、皆はそう思わないのだろうか?
過去にこんな思いをしたことがあった。新横浜の金子ビルでインチキヘビメタのような格好をして、格闘ゲーム「ギルティギアシリーズ」を作った、石渡太輔だ。昔、昼休みになるとこの人が金子ビルから出てきて弁当を買いに行く姿をよく見かけたものだった。
この人の音楽も、まったく素人くさいもので、そのメロディを聴いていると、私の頭は次に来る音を想像するのだけど、それが1音、2音「来るはずの音」が来なくて、私の頭の中はコケまくっていた。素人が作ったフレーズ・サラダだ。
しかし「ゲーム全ての素材を一人で作った」というのは称賛すべきことであり、それを考えれば絵が下手だろうが曲が曲になってなかろうが、大した問題ではないのかもしれない。
私は本職の作曲家の音楽を聞きたいところなのだけど、誰かお薦めの曲ありませんか?