暴力の人類史 (上・下)スティーブン・ピンカー著:私は10分後に貰える2個のマシュマロが待てなかったのか?

Hiroki Kaneko
6 min readJul 30, 2020

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やっと図書館が再開したので活字のある文明生活になった。

貧乏人に本代1万円は払えない

前々から借りようと思っていた、「暴力の人類史 上巻 スティーブン・ピンカー著」を借りることができた。これは上下巻合わせて1万円ちかい、高価な本であるのでこういうものは図書館で借りるのが良いと思う。
著者の最新巻である「21世紀の啓蒙」を先に私は読んでしまったので、本来ならこちらを読んだ後だったら良かったのだけど、仕方がない。

この分厚い本のだいたい3/2くらい読んで(私は読むのが遅いので…)返却期限が来てしまったので、そのまま返却して下巻を借り、これは最後まで読んだ。なので、私はこの大著の感想を偉そうに語れる立場ではないし、本の内容がどんなものなのか知りたい場合は、shorebirdさんの詳細な説明があるので、そちらを読んでほしい。

私から内容に対して言えるのは、これだけだ。
対立する二国間を、有名な実験「囚人のジレンマ」になぞらえて「平和主義者のジレンマ」とし、現状では「両国とも戦争をする方が得」ということになるが、戦争をする国に対しては国際機関が罰を与えるなど、平和でいる方がマシであるにはどのようにすればよいのか?著者は色々と方策を考えており、未来に希望が持てた。

僕はこういう本を読むと、人生に希望が持てると同時に世界は冷酷でもあると再認識させられる。それは進化心理学者の本を読んでいるとだいたい分かる。このピンカーの他にも、ジョナサン・ハイトやジョシュア・グリーンの本にも繰り返し出てくるからだ。人生に目的などない、というのは逆に、全ての物事に意味があると感じてしまうのは人間の脳が物事の結果から原因を推論する能力の副作用であるというのだ。そうだろうな、と感じる。

これらの本に共通に出てくる実験というのもある。有名なトロッコ問題(5人の命を救うために全く関係のない1人の命を犠牲にすべきか?)や、子供に対して「いますぐ1個のマシュマロをあげるけど、10分我慢すれば2個のマシュマロをあげるよ」と言って待てた子供、待てなかった子供はそれぞれどのような大人になるのか?などだ。なんでも待てた子供は学校の成績も優秀で給料の高い仕事につく確率が高く、待てなかった子供は学校を中退して犯罪者などになる確率が高いとか。

私が子供の頃、このマシュマロ・テストをされて、果たして自分は2個のマシュマロつまり将来の報酬のために今を我慢する「聡明な子供」であったのだろうか?わからない。私は自分に自信がない。頭がよいのかどうかもよくわからない。これを客観的に判断する良い基準がある。学校の試験だ。これは数字によって第三者にもすぐにわかるようになっている。ところが私は、「もし自分が馬鹿だったとして、それを成績という証拠、数字という分かりやすい計りにより、第三者にバレてしまう」ことが恐ろしくて恐ろしくて、思春期からうつ病になり、自分を試すようなことから逃げて逃げて、今まで生きてきた。

IQは頭の良さを測るための妥当な方法であるというのは著者も認めるところだという。果たして私のIQはいくらなのだろうか?頭がよい、ということではなさそうだ。だとしたら、人生において不利なバカなのか?それとも「日常生活が困難なボーダーライン」なのか?気になって仕方がない。

しかし大多数の「普通の人々」は、私から見ればバカに見えて仕方がない。しかしそれは自分のことを相対的に彼らよりマシだとすることではないので、ここで「お前は上から目線だ」だの何だのという見当違いのコメントを書くのは控えていただきたい。私は子供の頃から、自分の脳みそで考えずに「とりあえず他人に合わせる」考えが大嫌いで、そのような行動を取る人間を心底嫌っていた。あいつはなんて馬鹿なのだろうと。しかし進化心理学によると、それは自部族の近いを自分が守っていることをディスプレイして、自部族内で自分が認められ、生き残るための高度な戦略であるという。それにはありえない事を信じていると表明するほうがより他人には分かりやすくなるという。たとえばありもしない神の存在を信じると表明するだとか、アメリカではマスクをしないことがトランプ信者であるディスプレイになっている。それで不利益を被るのは結局自分たちなのに、これは本能であるので抗えない。これを「信念の共有地の悲劇」というらしい。

私は嘘は嘘と見破れるが、お腹は空くし眠くなるしで本能には逆らえないところがある。子供の頃から私は、なぜ人々が神という「いるわけないもの」をいると信じているのか理解できなかった。みな馬鹿じゃないのかと。しかし今が狩猟採集生活の時代であったら馬鹿は私の方で、私は不信心者として自部族から見捨てられ、飢え死にしただろう。そして嘘を信じると表明する人間のみが生き残り、その子孫はやがて嘘と現実の区別がつかなくなってしまった。

現代の科学が人間の脳について、ここまで解き明かしてしまったのに、何を今更、存在しないものに対しているのいないのと喧嘩しているのか?バカにしか見えない。しかし、もしかしたらIQやらマシュマロやら、そういった尺度で頭の良さを測るのなら、バカは私かもしれない。一体どっちが馬鹿なのか?そしてこのとりとめもなく、結論もない記事は一体何なのか?今日は頭の調子が悪いのでうまくまとまらないのは仕方がないのだ。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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