私は何を見落としているのか?スマホ決済の利点が理解できない

Hiroki Kaneko
6 min readFeb 5, 2020

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Photo by Christiann Koepke on Unsplash

面倒な新技術

実家の近くのディスカウントストアは、その性質上、現金決済に重点を置いていたのですが、数年前から一部のレジでのクレジットカード払いに対応、そして去年からはスマホ決済にも対応し、レジで行列に並んでいると前の客が3分も5分も決済に手間取って、後ろの客をイラつかせるという光景が続いている。

キャッシュレス決済は期間限定で5%引きになる店舗もあり、それにつられて現金を使わないということもあるだろう。であるならクレジットカードまたはデビットカードを使えば良いだけであり、スマホ決済というのが一体、何のためにあるのか、消費者にどのようなメリットがあるのか全く理解できないのは、これは私が何かを見落としているのでしょうか?そしてカードを渡すだけの方が、スマホを取り出してロックを解除し、アプリを立ち上げ、決済の操作を…という手順より遥かに簡単で速い気がするのだけど。

テクノロジーは、それが新しければ新しいほど便利であるという考えをあなたが持っているのなら、あなたはテクノロジー音痴である。テクノロジーについて詳しいハズのエンジニアが「ブロックチェーン」とか言い出したら要注意だ。もしあなたが金持ちであるなら、「技術音痴の金持ち」であるあなたからカネを引っ張ってくる為の嘘をついている可能性が高い。あんなものは単なる双方向リストという、大学でコンピューターサイエンスを勉強するなら1年次に勉強する初歩の初歩であり、双方向リストの利点以上のものではない。ビックカメラがビットコイン決済に対応、といっても、それで支払いをしている客を見たことがない。1日でその価値が激しく上下する通貨で、誰が買い物などするか。
ではステーブルコインなら?鳴り物入りで発表したFacebook Libra、さっそくクレジット会社から総スカンを食らっていますけど、どうなることやら。世界の優秀な頭脳が結集したFacebookですら、暗号通貨の利用法はといえば「手数料が少なく送金できる」以上は思いつかず、それはビットコインが騒がれていた当初から言われていた利点から一歩も外に出るものでもなく、「ブロックチェーン技術は何にでも応用できる」と吹聴して、技術音痴の金持ちからカネを引っ張ってきて贅沢な暮らしをしている皆様、残りのカネはあと何年持ちますか?

便利だから普及するわけではない

中国でスマホ決済が定着したわけは、その利便性ではなく莫大な資金を投入した過剰なキャンペーン、ポイントやら利率やらでお得感を煽り、利用者に「スマホ決済の方が安い」と思わせておいてその実、決済手数料を上乗せして払っているのも利用者だ。
それをそのまま真似て100億円キャンペーンだので一気にシェアを伸ばしたPayPayは、外国の成功事例を真似るというタイムマシン経営だかが未だに有効であることを示した。

そういう餌に釣られて現金以外の、クレジットカードだかスマホ決済だかを常用して、その結果、決済会社の手数料は回り回って誰が払うのか?消費者だ。そしてその手数料が3%であった場合、PayPay祭りも、キャッシュレス5%還元も無くなれば物価は3–5%上がるのではないか?それが一体、得なのか損なのか。決済会社が儲かるだけ、という気がする。

機械は信用できない

こんな事を言うと、私は単なる技術音痴の老人なのだろうか?機械は信用できない。いつ壊れるか分からないからだ。去年、沖縄の海で見かけた若者は、10万円以上もするiPhone Xを「このスマホは防水だから」と言って海水につけて撮影していた。見ている私は卒倒しそうだった。真水と海水は違うと思うが、金持ちではない私は高価なスマホをそのように乱暴には扱えない。

航空券をネットで申し込んで、iOSのWallet appに電子チケットを忍ばせて空港へ行くだろうか?私はそれが自宅で申し込んだのなら、チケットを印刷して紙の状態で持っていく。スマホは壊れないまでも、バッテリー切れするかもしれないからだ。

古い技術と新らしい技術を比べて、理詰めで考えてそれが一方より利点がある場合、新しい技術を採用すればよいと思っているのだけど、世の中はどうもそのようには動いていないようだ。「これからはブロックチェーンっすよ」と言って技術音痴の金持ちを騙して金を巻き上げ、贅沢な暮らしをしてあらかた金がなくなったら別の口上で別の金持ちからまた金を巻き上げる。そして以前の手口は「失敗した焼畑農業」ではなく「仕事上のキャリア」となり、より条件の良い仕事ができるようになるかもしれないのだ。そこには「流行りにはとりあえず乗っておけ」という、私がもっとも嫌いとする軽薄な考えが見え隠れする。大地震が起きたら店で食べ物を買い占めるような…新型インフルエンザが流行したら薬局でマスクを買い占めるような…。お前らのせいで本当に必要な人達に品物が行き渡っていないんだ。

そういやVALUってどうなったんだろう

ブロックチェーンがどうと書いたので、そういやVALUってどうなったんだろうと思い出してWebサイトを見たら、「2020年3月末日に暗号資産・VAの取り扱いを停止するためただいま新規入会を停止しています」とあった。何でも新しい法律に対応しきれないだとか。それで新法が革新の芽を潰すものなのかどうかは知らないけど、運営会社のミッション・ステートメントを見たら:

これまで人間は、属性で価値をはかられてきた。
学校や会社、肩書や役職、国籍や性別……。
あたらしい時代は、人間そのものを見つめよう。
https://corp.valu.is/mission/

なるほど。

代表取締役/CEO 小川晃平

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント卒業後、株式会社グリーに入社。 2012年より、グリー米国支社に赴任し、全米3位のモバイルゲームのリード・サーバーエンジニアを務める。
https://corp.valu.is/company/

なるほど。

同ミッション・ステートメントには「資本主義をアップデートし、格差のない社会を」と頓珍漢な事が書かれており(格差是正なんかどうだっていいから貧困層の底上げの方を優先するべきと考えます)、社長は金持ちのご子息ご令嬢ばかりが入る有名私立大学を卒業あそばされたことから「高学歴コネクション」 — —つまりこういうお坊ちゃんのお父様は会社経営などをしており、息子さんが会社を作った際もお父様や周囲の同じように恵まれた皆様のコネを使って最初から大きな仕事ができるので会社が潰れにくい、成長しやすい — —が羨ましいなあ、と思いましたがどうでしょうか家庭内暴力から逃げ出してアメリカの大学を卒業された小飼弾様?まだVALUにいるのですか?

私がCEOである彼の立場だったら「貧乏人は生かさず殺さず、俺達の養分になってりゃいいんだよ!」と言うはずなので、慈悲深いお金持ちのお坊ちゃんのありがたいお言葉と思います。

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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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