誰が私の人生ゲームのタイトル画面で難易度very hardに選んだのだ?THE BIG ISSUE JAPAN403号

Hiroki Kaneko
Mar 21, 2021

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特集などは省略。

https://www.bigissue.jp/vendor/403/

ビッグイシューで唯一、真剣に読んでしまうのがこの「販売者に会いにゆく」だ。

それは81~86年にかけてメキシコに住んでいた時のこと。若かりし頃の自身について、ゼンは「みんなに見捨てられて独りぼっちの状態だった」と明かす。「そうして決めたのは、行き当たりばったりな自分の性格を強みにして世界を旅することでした」
「半年間米国を旅した後、メキシコに着いた時は飢え死に寸前の状態でした。手元に残っていたのはたった400ドル。大切にしていたカメラを売ってお金に換えました。仕事を紹介してもらおうと思い大使館にも行きましたが、彼らは私に帰国する旅費をくれようとした。

よく分からない人だ。その後ゼンは家庭教師や映画の端役などをしながら5年ほどメキシコで暮らした。当地で結婚した妻とスイスへ戻ったが、その後どのような職に就いていたのか、インタビューでは分からなかった。

思うに、彼のいきあたりばったりの半生を読むと、どうもこの人、多動性障害ではないかと思う。そうでなかったとしても、何かしらの「個性」をもって生まれたのではないか。急に外国へ行って暮らしたり、職を転々としているし、その職の一貫性の無さなどを見ると、大変だろうなと思う。

そのような脳の個性、特性をもって生まれたのは本人の責任ではないし、ましてや親の責任でもない。しかし偶然にもそのような「個性」をもって生まれてしまったからには、本人も周囲も苦労する人生を歩むことになっているのではないだろうか。

彼がその年になってもストリートペーパーを売っている理由はなんだろうか?

  1. 定年までどこかで働いていたが、定年後は年金だけでは生活できないのでストリートペーパーを売っている
  2. スイスに帰国してからも安定した職につくことはできず、メキシコ出身の妻ともうまくいかずに離婚、職も失いホームレス状態になり今はストリートペーパーを売っている

どちらだろうか?どちらにせよ、あまり恵まれているとは言い難い生活だろうと感じる。スイスはメキシコよりは貧富の差が激しくないだろう、というか「上」は超大金持ちでもあろうが、「下」は社会保障制度のおかげで、住むところと食べるものはあるだろうと想像する。

昔のビデオゲームは、タイトル画面で難易度を選ぶことができた。英語で言えば、easy(やさしい), normal(普通), hard(難しい), very hard(とても難しい)と選択肢があり、後年になってnightmare(悪夢)なんてものもあった。このような人は、生まれてくる時に誰かによって人生の難易度がhardかnightmareに設定されていた。誰のせいだ?誰のせいでもない。もちろん本人が選んだわけでもない。

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販売者となって17年。今度は「グローバリゼーションによって街角の様子が変わり、人間的な温かさが消えていったことについて書きたい」と語る

グローバリゼーションによって人間はますますお互いを気遣うようになったのに「人間的な温かさが消えていった」というのは思い違いだ。販売者の住むヨーロッパなどは、戦後になっても1960年代まで、ナチスまがいの白人至上主義が主流の考えであったのを忘れたのだろうか?
外交の場で他国の欠点を指摘すれば、グローバリゼーション否定論者の外交官は「内政干渉だ」と怒り出す。すべての国はテロリストやら、悪辣なギャング集団が作り出した碌でもない出自なのだから、他人からの指摘は謙虚に聞き入れる必要がある。しかしギャング集団ゆえに他人からの批判を聞き入れない。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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