踊る亀とIPv6 (NEC Aterm WG2600HSレビュー)
IPv4アドレス枯渇問題はどうなった?
自宅の光回線+ISPに月5,600円も払っているのに、その速度を活かせない環境にあるなら、なんだか損した気がする。私は数年来、Apple AirMac Extremeを使っていたのだけど、Appleはルーター事業から撤退するそうだし、21世紀初頭、IPv4アドレス枯渇問題の救世主として鳴り物入りで登場したIPv6だったがまったく普及する様子がないと思っていたら、回線の混雑を回避する技術としてIPoE IPv6がここ数年来注目され(IPoEが速い理由は今現在IPv6でネットに繋がっているユーザー数が少ないので高速なのであって、今後は混雑するかもしれない)、その来歴など知らない人からしたら「IPv6 = ネット高速化技術の一つ」だと認識されているのでは?そしてそろそろ私も亀が踊るところを見てもいいんじゃないかと思った。
ネットで探した情報によるとIPoE対応ルーターの中でも速度差は色々あるようだけど、とりあえず安価でなるべく新しいルーター、という基準で探すと、NEC Aterm WG2600HSは9,000円程度の値段でIPoE対応、2019年発売という条件に一致したので、購入した。
Amazonに依存するのは止めようと思い、ビックカメラ藤沢店、ヨドバシカメラ町田店の店頭を探したが件の製品は見つからず、あきらめてAmazonで注文したら翌日、届いた。ローカルの小売店を応援したい気持ちはあっても、欲しいものがないのだから仕方がない。
設置
ISP/回線: So-net 光 戸建 東日本
ISPオプション: v6プラス サービス申し込み(別途料金なし、設定なし)
ONU: NTTから貸与された何か
ルーター: NEC Aterm WG2600HS
ONUから伸びているLANケーブルをAtermのWAN側に指す。電源を入れると勝手に立ち上がる。
本体か説明書に書かれているSSID/パスワードでPCかスマホからAtermに無線LANで接続する(この時点で既にWAN側インターネットにつながっている)。
Web管理画面を表示する。IPアドレスは192.168.10.1。
驚くことに、既にネットに繋がっているので他にやることといえば、管理画面へのパスワードをデフォルト状態から変更することぐらいか。
速度計測
昼間、iMac、5GHz接続
夜間、iPhone, 5GHz接続
今どきはネットに接続するのもほとんど設定いらずだと分かり、驚いた次第。
感想
AirMac ExtremeにあってAtermに無い機能といえば、ネットワークを家族用と来客用で分ける、といった機能が、少なくともWeb管理画面には見当たらない。これが上位機種であるAterm WG2600HP3にあるかどうかは調べていない。
Web管理画面から、ルーター本体のLEDランプを消灯するかどうかを選べるというのは斬新だった。こんなのが寝室にあったらLEDランプが眩しくて眠れないからね。
追記
2019/5/21: Webブラウザでプログレスバーが途中で止まって画面が表示されない状態が、特に夜になると多発しています。これは、俗にいう「パケット詰まり」という状態に思えます。この状態はルーターを再起動しても変わりませんでした。
しかしGoogleやYouTubeは相変わらず高速、ということは、「IPv6対応サイトは高速、しかしIPv4サイトをMAP-E(v6プラス)を利用して、IPv6ネットワークをトンネリング(この言葉が合っているか分からない)して見ようとすると、その経路のどこかでボトルネックが発生している」ように見えます。
しかしこれは証拠がないし、ISPや住んでいる地域が違えば十分高速になる、という事もありえますので、この文章をもってこのルーターは駄目だ、という結論に至りませんようご注意ください。ファームウェア・バージョンは1.2.0です。私は一旦AirMac Extremeに戻して、ファームウェアの新しいバージョンが公開されたらまた試してみたいと思います。
更に追記
2020/4/4: ファームウェア1.5.1、異なるISPで試しても、一週間に一回くらいIPv4の接続が切れる。ルーターを再起動すると復活する。これはなぜ分かるかというと、FacebookやGoogleといったIPv6対応した大手Webサイトには繋がるが、他が繋がらなくなる時に「もしやIPv4だけ切れているのでは…」と気づくからだ。こんなの、私の親だったら絶対に気づかない。
ファームウェアが最新で、ISPが異なっても症状があまり改善されないということで、私が「このルーターはあまりお薦めしない」と言ってもまんざら私だけの環境で起きる問題でもなさそうに思う。