通勤とセガと20年
通勤電車で品川駅の近くを通ると、大崎ガーデンタワーが見える。ここは大田区の旧自社ビルを追われたセガが、パチンコという法律的にグレーゾーンのギャンブル・ビジネスを行うヤクザのフロント企業に拾われてから引っ越した現在の本社ビルでもある。
その影響なのか何なのか知らないが、私が若い頃に夢中になったセガは、なぜか知らないが主人公であるヤクザの男がリズムに合わせてカラオケを歌うゲームばかり20年以上に渡って作り続けるだけの会社になってしまった。
そのような会社になったセガを、私は残念だと思い続けながら毎日電車の中から見上げていたのだった。ヤクザの会社が、ヤクザが主人公のゲームを作ることに何ら問題はないけど、それだけを作り続けるだけで過去に出したゲームの事は忘れてしまったのか?と私は思い、それが寂しかった。
きっとセガの役員会では、過去にヒットしたゲームの続編を出そう、という案はいつも出ていたのだろうが、資金難などの理由でいつも立ち消えになってしまったのではないかと想像している。そのような状況が20年続いたのだから、その間よく会社が保てたものだとも感じる。
「継続は力なり」なのか、風向きが変わってきたのは2020年前後からではないだろうか、ゲームの主人公であるヤクザの男が歌うカラオケがネットミームとして、コロナ禍で家から出られずYouTubeばかり見ていた世界中の人達の暇つぶしになった。
そのおかげで龍が如くフランチャイズも次第に西洋世界に知られるようになってきた。
この波に乗って、かつての人気フランチャイズを復活させよう、というアイディアが出たのかもしれない。先日、バーチャファイターの新作を発表する、というビデオが公開されていた。
アイディアはセガ社内からいつも出ているだろうが、資金が出なかったのだろう。資金を出したのはどこか?
もし、次のバーチャファイターがプレイステーション専売であったら、SONYが資金を出したのではないか?などと勘ぐってしまう。
長らくプレイステーション専売であった龍が如くフランチャイズが、最近ではXboxやらPCやらに移植されているところを見ると、桐生は御殿山組*を抜けたのかと思っていたが、実は未だに関係が続いているのかもしれない、と勝手に想像した。
*SONY本社周辺の地名
これから毎日、通勤電車から大崎ガーデンタワーを見上げるたびに「ああ、あのビルの中でバーチャファイターの新作が作られて…」と想像して、通勤が少し楽しくなった。