金持ちという登場人物は私の人生劇場には出てこない:ビッグイシュー日本版387号

Hiroki Kaneko
3 min readJul 30, 2020

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毎号掲載している、ビッグイシュー以外のストリート雑誌販売者へのインタビュー。途中まではWeb版でも読めるので読んでほしい。

今回登場する、スイス在住のカリンは金持ちの夫と結婚したまでは良かったが、精神が不安定になり麻薬に手を出した。夫の家は金持ちだったので、親族からの結構な額の遺産が転がり込んできたが、夫婦揃って麻薬購入代金にしていたら10年で無くなった。夫はその後、麻薬のやりすぎで死んだ。娘は色々あったけどなんとか生きているので良かった、という内容。

「金持ちと結婚」とか「莫大な遺産が転がり込んできた」とか、私の人生では見聞きしないがフィクションやら、テレビでよく聞くフレーズが出てくる。結婚相手の年収は1000万円以上じゃないと嫌だ、とか。

金持ちという人種がこの世に存在するというのがまず、信じられない。だって自分も周囲にも、金持ちがいないからだ。金持ちとは、ニュースに出てくる、最近アメリカの議会に招聘されたGAFAのトップ連のような「雲の上の存在」だ。

世の中には金持ちという人種がいて、自分と接点を持つ?さっぱりわからん。私はコロナ禍やら起業1年目やらで、銀行の口座残高が減るのを見るのが怖くてたまらない。もし事業がうまく行かなかったら、実家の民泊の上がりで生活しようと思っていたが、この2020年、海外からの旅行者なぞ来ない。ここで私の「もしもの時の補給線」は絶たれた格好だ。「日本の国民は民度が高いのでコロナの流行を抑えられた」と九州出身のバカの金持ちが言ったので外国のプレスは開いた口が塞がらなかったそうだが「民度」とは民主主義の構成員としての…もういいですか?つまりこれを書いているのは7月30日ですが、この状況でもう一度同じ事を言ってみろ。

2020年が、まさかこんなことになろうとは私は予想していなかったし、他の誰も予想しなかっただろう。

この状況から一年後、私がどうなっているのかは全く分からないのだけれど、とりあえず何らかの方法で生きていると思うしかない。少なくとも私の身の回りには「金持ちと結婚」といった幸運は訪れないのだから。

インタビューイは金持ちと結婚したが、自ら身を持ち崩した。私は金など持っていないが、麻薬に手を出していない。私のほうが幸せだと思うほかない。

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Hiroki Kaneko
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Written by Hiroki Kaneko

自営業のソフトウェア技術者。Airbnb TOP5%ホスト。サイクリングと旅行が趣味。

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